高島屋岐阜店、営業終了へ 来年7月末 県内百貨店が消滅 柳ケ瀬商店街に落胆・動揺広がる
百貨店の高島屋は13日、高島屋岐阜店(岐阜市)の営業を2024年7月31日で終了すると発表した。設備が老朽化していたほか、郊外型商業施設などとの競合激化も影響したとみられる。岐阜県内では大垣市にあったヤナゲン大垣本店が19年8月末で閉店しており、高島屋の閉店で岐阜県内の百貨店はゼロになる。高島屋岐阜店が入居している建物の家主は、後継テナントを誘致する構えを見せている。
高島屋岐阜店は1977年9月の開業から46年が経過し、電気や給排水などの基幹設備の老朽化が進んでいた。建物の家主である平和ビル(本社岐阜市)および、親会社の岐阜土地興業(本社岐阜市)と設備更新工事を協議したが、合意が得られなかったという。
高島屋岐阜店を運営する岐阜高島屋は24年8月31日で解散し、従業員177人は、高島屋やグループ会社への配置転換のほか、他社への就職あっせんを行うという。
岐阜高島屋の23年2月期売上高は131億5700万円、営業利益8800万円、純損益は3100万円の赤字だった。
岐阜土地興業の担当者は中部経済新聞の取材に対し、「高島屋岐阜店の閉店後は、商店街のにぎわい創出につながるような店舗を誘致したい。空いたままというような状況にはしない」と話している。
柳ケ瀬商店街に落胆・動揺広がる
高島屋岐阜店が位置する柳ケ瀬商店街は、3月に再開発ビル「柳ケ瀬グラッスル35」がオープンし、にぎわいの回復が期待されていた。ランドマークでもあった高島屋岐阜店の閉店発表に驚きの声と落胆が広がった。
岐阜柳ケ瀬商店街振興組合連合会(岐阜市)の林亨一理事長は「突然の発表で驚いている。高島屋岐阜店とグラッスル35の二つの施設を中心に活性化を期待していたため残念だ」と肩を落とした。
柳ケ瀬商店街に店舗を構えるメガネの賞月堂の木方伸一郎社長は「柳ケ瀬商店街は高島屋あっての商店街だった。再開発ビルが完成したばかりでこれからという時でもあり、残念。跡地がどうなるか分からないが、将来を見据え、人が集う仕掛けを期待したい」と語った。
岐阜商工会議所の村瀬幸雄会頭は「グラッスル35がオープンし、柳ケ瀬の魅力が高まりつつある中、その一翼を失う痛手は計り知れないものがあり、中心市街地空洞化や消費の減退など地域経済への影響が懸念される」と危機感を示した。
古田肇岐阜県知事は「岐阜市のにぎわいの中心であった百貨店の閉店に驚くとともに誠に残念。今後の従業員や取引先との関係、店舗や土地の取り扱いについて適切に対応してもらうよう高島屋に申し上げた」とコメント。
柴橋正直岐阜市長は「まちのシンボルとして親しまれていた高島屋岐阜店の閉店は大変残念だ。柳ケ瀬エリアに新たな人流やにぎわいが生じているところであり、市としては今後について県や商店街の事業者と考えていきたい」としている。
記事をもっと読むには・・・