トヨタグループ8社 風土改革に本腰 相次ぐ不正で原点回帰
立ち返り
「再発防止の取り組みを徹底する」
豊田自動織機の高木博康執行職はこう話し、エンジン認証不正問題への決意を誓った。
同社ではエンジン不正問題に関し、新たに自動車用ディーゼルエンジンでも法規違反が発覚。すでに問題が明らかになった昨年3月以降、開発と認証部門の分離、法規認証の専門部署の発足など、矢継ぎ早に対策をとってきた。高木氏は「品質監査の機能やコンプライアンス(法令順守)の活動を強化している。特別調査委員会からの提言も踏まえ、これからも取り組みを進める」と強調する。
デンソーの松井靖副社長も「これまで『品質のデンソー』と自負してきたが、これが揺らいでいる、と強く自覚している」と、率直に語る。
不正ではないが、同社製燃料ポンプの不具合に伴い完成車メーカーの間でリコールが広がる事態に見舞われているからだ。松井氏は「(リコール拡大は)当社の知見が及ばなかった部分があると反省している。品質のデンソーに立ち返り、まずは信用回復に努める」と話す。
新ビジョン
一部のグループの不正を受け、各社は品質確保やコンプライアンスを徹底する社内体制の改革に取り組んでいる。
豊田合成は1月、新しい部署・法規認証室を立ち上げた。製品の開発から量産まで法規に適合しているか否かを一気通貫で確認する体制を整えるという。愛知製鋼も4月にコンプライアンス強化のため「リスクマネジメント本部」を設立する。
さらに、相次ぐ不正の背景には、風通しの悪さを指摘する声も。トヨタ自動車の豊田章男会長は1月30日、新しいビジョン「次の道を発明しよう」を発表。正しいものづくりへの原点回帰を訴えた。
トヨタ紡織の岩森俊一取締役執行役員は「不正を他山の石とし、風通しの良い風土づくりに取り組む。新ビジョンの心構えを見失っていないか、未来への種まきができているのか議論を始めている。加えて社員への浸透活動も検討している」と話す。
ジェイテクトは昨年から全社的に社内総点検を進め、潜在的な問題を洗い出してきた。立花昭人経営役員は「不正が起こる要因は職場風土にある」ときっぱり。率直かつ円滑なコミュニケーションを行える職場風土づくりに加え、「新ビジョンを受け、社員一人一人が自ら考えて行動できるよう促したい」(立花氏)考え。
トヨタグループの風土改革や新ビジョンへの受け止め
デンソー 松井靖副社長
「品質のデンソー」に立ち返る
豊田自動織機 高木博康執行職
新ビジョンをみんなで
議論し組織に展開したい
アイシン 伊藤慎太郎副社長
止めるべきことを
止められる風土に
トヨタ紡織 岩森俊一取締役執行役員
不正を他山の石とし
風通し良い風土づくり
豊田合成 安田洋副社長
法規・認証の取り組みを
全社で強化
愛知製鋼 中村元志副社長
現場の声に耳を傾け
問題あれば立ち止まる
ジェイテクト 立花昭人経営役員
新ビジョンを受け
社員一人一人の行動を促す
豊田通商 岩本秀之取締役
安全とコンプラが仕事の
入り口。改めて社内に浸透
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