中部のサービス業、従業員の処遇改善進む
前倒し
景気回復に伴う富裕層の高額消費や、今後のインバウンド(訪日客)の回復による消費を期待したいのが百貨店だ。10月1日から、名鉄百貨店(本社名古屋市)は契約社員を除く非正規社員の時給を38円引き上げ、1028円に改定する。ジェイアール名古屋高島屋(名古屋市)は、時給を一律40円引き上げる。
中古品流通大手のコメ兵(本社名古屋市)は、愛知県で一部のパートタイマーを対象に時給を10~40円増やす。2023年度から、採用強化を目的に、一部店舗・エリアでパートの時給を100~150円増やしている。
10月の最低賃金引き上げに前倒しで対応する動きもある。
名古屋三越(本社名古屋市)は9月11日から、平均時給を40円プラスの1030円に引き上げた。
バローホールディングス(本社多治見市)は、スーパー「バロー」で、買い物客が混み合う日曜・祝日のパート・アルバイトの手当ての対象を拡大した。
インセンティブ
ラーメン・中華料理チェーンのJBイレブン(本社名古屋市)は4月、パート・アルバイトを対象とした役職制度を見直した。パート・アルバイトの役職別に「任用手当て」として上乗せする時給を数十円引き上げた。現行制度では最大200円が時給に上乗せされる。
居酒屋・定食店など飲食ブランド「がブリチキン。」などを展開するブルームダイニングサービス(本社名古屋市)は8月から、社員であるマネジャー、店長を対象とする新たなインセンティブ制度を開始した。店舗ごとで月の売り上げ、営業利益などの項目で目標値を設定。達成店舗には毎月3万~5万円を支給する制度だ。
従来は年2回の人事評価を実施してきた。今回は既存の査定とは別で、毎月のインセンティブを設けた。加藤秀太・マーケティング戦略部部長は「以前は自身の頑張りが評価されないという理由で人材が流出するケースがみられた。毎月評価を行うことで、社員の頑張りを見逃さないという狙いがある」と説明する。
名古屋マリオットアソシアホテルなどを運営するジェイアール東海ホテルズ(本社名古屋市)は、傘下の非正規スタッフの時給引き上げに加え、社員の定着率向上に向けて「研修制度の充実に努めている」(名古屋マリオットアソシアホテル広報担当)。
入社数年目のスタッフを中心に、調理職の腕前を披露する会などを実施。社員に自信を持たせるとともに、若手調理職の幅広い知識の習得や、ホテル内の組織を超えたコミュニケーションの醸成に努めている。
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