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SDGs特集
中部SDGs推進センター代表理事 戸成司朗氏に聞く

SDGsはビジネスニーズの宝庫

中部SDGs推進センター代表理事 戸成司朗氏
いま、SDGsに取り組む意義はどういうところにありますか。

「意義を語るには、まずSDGsの成り立ちに目を向けなければなりません。SDGsの前身ともいえるMDGs(ミレニアム開発目標/達成目標年2015年)は、どちらかというと恵まれない国々や社会に対して先進国、グローバル企業が支援をしていく取り組みでした。市場経済のグローバル化に伴って発展途上国が成長し新興国が誕生するプロセスの中で、世界は高度成長期を迎えます。日本が失われた時代に突入している頃のことです。経済のグローバル化によって、MDGsは目標を大きく達成したのです」

「このような光が当たれば当然影ができます。二酸化炭素の排出を原因とする気候変動、生態系の破壊といった環境問題と格差の問題です。格差は貧富の差を拡大しただけでなく社会を不安定にしていきました。SDGsの背景にはこのような大きな影があるのです」

「SDGsは先進国も含めた社会問題と捉えられ、世界中で大きな動きが出てきます。グローバルカンパニーはSDGsの持っている『リスク』と『機会』という二つの側面に着目します。昨日まで許されたことが明日には糾弾されるというリスク。金融業界がSDGsとESG(環境・社会・企業統治)という視点で大きく社会を変える動きが出てきました。代表的なのがESG投資やサステナビリティ投資で、財務諸表だけで経営を判断する時代から非財務情報を含めて経営を判断する時代になりました。企業はSDGsの問題に取り組まないと社会から糾弾されるだけでなく、株も債券も買ってもらえず融資も通らないというプレッシャーがかかってくるのです。そういうリスクに対して企業が敏感に反応したというのが大きな流れです」

「一方SDGsが掲げる社会課題はビジネスのニーズの宝庫でもあります。そのニーズに対してソリューションを提案できる企業は成長の機会が得られます。企業はリスクを回避し機会をつかむことができるのです。企業はここに意義を見出し、SDGsに積極的に取り組んでいるわけです」

中部地区企業のSDGsへの取り組みをどうみていますか。

「製造業、特にBtoBの企業が多い中部地区は、東京、大阪に比べて少し社会感度が鈍く感じたのですが、この1年で急速に変化しています。トヨタ自動車の決算報告会で豊田章男社長が、『私の使命として本気でSDGsに取り組む』と明言されたことも大変象徴的です」

「社会を変えるもう一つのキーワードがサプライチェーンの圧力です。アフターコロナの世界は脱炭素に向けて大きく動いていきます。これからはRE100(再生可能エネルギー100%で調達)を提唱する企業が増えるでしょうし、温暖化ガス算定国際基準においても、サプライチェーンまで含めた事業活動(スコープ3)を対象とした取り組みが求められるでしょう。これはBtoBといえども避けて通れない問題です。中部圏の企業もこのことに気付き始めたのだと思います」

アフターコロナ SDGsとデジタル化が一挙に加速

中部地区で企業のSDGsに対する取り組み機運をさらに盛り上げるために必要なことは。

「アフターコロナで世界がどう復興していくかが、輸出産業の多い中部圏にとって大きなテーマになってくるでしょう。世界的に起きる『グレート・リセット』によってSDGsとデジタル化が一挙に加速するといわれています。アフターコロナの大きな柱は、『グリーンリカバリー』と『デジタルトランスフォーメーション(DX)』です。環境投資とデジタル投資、この2大投資が世界を復興させるといわれています。グリーンリカバリーとデジタル投資で世界は大きく変化します。中部地区が生き残るためにどうすればよいのかを考えていかなければなりません」

「まず、脱炭素は避けて通れません。ものづくりがこれからは変わります。ものづくりの『もの』は、片仮名の『モノ』だったり平仮名の『もの』だったりします。『モノ』がハードだとすると、『もの』はソフト的なイメージでしょうか。改善しながら合理的につくっていく『モノづくり』の地域から、人間の豊かさにソフトを組み合わせた『ものづくり』の地域にどうやって生まれ変わっていくか。どうやってSDGsを実現させていくか。そこで必要になってくるのがDXを含めたAIです。『モノづくり中部』からハードとソフトを融合した『ものづくり中部』にどうやって変わっていけるか。人間の心に共感をもたらす『ものづくり』とは何なのかを考えなければなりません」

「SDGs AICHI EXPO2020」(2021年2月5、6日開催)について教えてください。

「『愛知県におけるSDGsパートナーシップの構築』を目指し、県内の企業、大学、NPOなどが取り組みを発信します。主催者、出展者、参加者がわかりやすく、たのしくつながり、それを地域全体への取り組みにつなげていきます。さらに旧来の大量消費・大量廃棄からの脱却を図ることも大きなテーマと考えています。SDGsを単独のテーマとした大々的なイベントが日本で開催されるのは初めてです。製造業の多い『ものづくり愛知』で開催するところに大きな意義があるのです」

SDGsは重要な羅針盤

「SDGsって何をしたらいいの」と思われることでしょう。SDGsというのは、世界の「2030年のありたい姿」を描いたものです。わが社は2030年にどういう会社でありたいのか、どんな存在意義を持って存在しているのか、2030年の社会から何を期待されて生き残っているのか、それがわが社の存在意義です。2030年のわが社の存在意義から考えるということがSDGsの肝になります。

細かい枝葉末節のところから着手するのではなく、まず自分の会社はどんな会社になりたいのか、社会に対してどういう存在でありたいのかを考えてください。そのベースになるのは、創業理念であり、経営理念であり、社訓です。これらを毎朝唱和していても何の役にも立ちません。わが社のありたい姿、存在意義を考える重要な羅針盤としてSDGsを使ってほしいと思います。

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