ブラザー工業 ミシンで自動車市場開拓 カーテンエアバッグなど縫製需要取り込み
エアバッグのなかでも、車内の前後左右の窓ガラス上部に取り付けられる「カーテンエアバッグ」の広がりで、エアバッグメーカーの間で同社の工業用ミシンの採用が増加している。
カーテンエアバッグは長さが2~3メートルあるため通常の工業用ミシンでは対応が難しい。カーテンエアバッグの装着が進んでいる欧米で採用されたのに続いて、日本国内のメーカーでも足元で納入実績が増えつつある。
今後、さらにインドなど新興国でもカーテンエアバッグをはじめ自動車のエアバッグの装着拡大が見込まれており、国内外でエアバッグやシート、シートベルトなど自動車関連向けの縫製需要の取り込みを狙う。
長谷川常務執行役員は「長尺物に対応する自動縫製システムは、業界内でも珍しい」とした上で、エアバッグ以外にも「将来、たとえば自動運転が進めば、車内の快適性やインテリア性への要望が強まり、シートでも高精度な縫製が求められるようになる。工業用ミシンが役に立てるシーンが増える」と期待する。
直近の2023年4~12月期の工業用ミシン事業の売上高は約268億円で、ブラザー工業の連結売上高に占める割合は、約4・4%。工業用ミシンのうち7~8割はアパレル向けとみられるが、事業の持続的成長を目指して開拓余地の大きい非アパレル市場への提案に力を入れる方針だ。
ブラザー工業の工業用ミシンは従来、非アパレル市場では、かばんや、運動靴のブランドロゴの縫い付けなどに使われることが多かった。19年ごろから、プログラム通りに自動で縫製できるシステムの特長を生かして、自動車のエアバッグの縫製向けに提案を強化。アパレル向けと比べると厚くて硬い生地を縫うため、門型構造で剛性を高めているほか、大きな布にも対応できるよう縫製エリアを広げた。
また、独自の制御で布を送る動きと、その上を左右に移動する縫い針の動きとを別々に、かつ連動させることで、布の端まできれいに縫えるようにするなど精度、機能を高めてきた。
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