中部企業 廃素材の再製品化広がる 環境負荷の低減めざす 企業のファン獲得にも一役
■応援購入
「コロナ禍で当社を応援しようというファンの存在を実感できた」と語るのは、フジドリームエアラインズ(FDA、本社静岡市)営業戦略部の井上翔氏。コロナ禍で運休や減便が続いていた21年、航空機のエンジンに使われていた中古部品にFDAのロゴを刻印して限定販売したところ、価格が2万円と高額にもかかわらず計140本がすぐに完売した。
反響の大きさを受け、同社はFDAのファン拡大や企業認知度向上を目的にアップサイクル商品の企画に着手。ことし8月には客室乗務員の制服を再利用した御朱印帳(税込み1万円)を発売したところ、用意していた15冊が1分で完売するなど好感触だ。井上氏は「他社とのコラボも含めて今後もプロジェクトをつなげていければ」と話す。
■協業広がる
自動車部品メーカーの東海理化(本社愛知県大口町)は、シートベルトの端材をバッグやペンケースに活用したアップサイクルブランド「Think Scrap(シンク・スクラップ)」を展開する。百貨店や商業施設などでの販売を通じてブランド認知度を高めている。10月には地元商業高校の生徒と共同開発したクリアショルダーバッグ(税込み5500円)を発売した。
ショルダーバッグは愛知県立愛知商業高等学校の生徒が商品デザインや価格設定に携わった。黒色のシートベルトとピンク地のテント素材を組み合わせたデザインが特徴だ。共同開発を通じて高校生はビジネスを学ぶ機会を得られ、東海理化にとっても開発に若い感性を取り入れることができる。
今後、量産体制を整備して2025年に事業黒字化を目指す。東海理化社員が愛知県内にある縫製の委託先企業に出向き、トヨタ生産方式を指南することで二人三脚で生産効率化に取り組む。東海理化ニュービジネスマーケティング部ソリューション企画室の荒河修里プロジェクトチーフデザイナーは「生産量が増えなければ、協力いただいている企業のためにもならない」と語る。
繊維商社の豊島(本社名古屋市)も、中古衣料を回収し、国内の協力工場で糸に加工して再びデニムなどに製品化する資源循環プロジェクト「WAMEGURI(ワメグリ)」を展開。アパレルブランドだけではなく、自動車メーカーともトートバッグを製品化するなど、協業先が広がっている。
自治体との連携も推進する。6月には豊田市と「ゼロカーボンシティ」の推進に関する連携協定を締結した。市と協力して衣料品を回収し、ワメグリの生産スキームで新たな製品づくりに取り組む。
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