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世界に挑むスタートアップ (1) 名古屋大学発のシンクモフ モフ活用のCO2回収装置製造

G7広島サミットの会場で広島県の湯〓(崎の奇が竒 﨑)英彦知事(左)に、手のひらサイズの超小型CO2回収機を説明する堀副社長(右)
G7広島サミットの会場で広島県の湯〓(崎の奇が竒 﨑)英彦知事(左)に、手のひらサイズの超小型CO2回収機を説明する堀副社長(右)
 名古屋大学発ベンチャーのSyncMOF(シンクモフ、本社名古屋市千種区千種2の22の8の403、畠岡潤一社長)は、ガスや蒸気を貯蔵、分離できる注目の新材料「金属有機構造体(MOF=モフ)」を自在に合成し、革新的な脱炭素の技術開発に取り組んでいる。モフを活用した二酸化炭素(CO2)の回収装置などを製造販売し、設立4年余りで売上高は10億円以上に拡大した。未開拓市場で業界トップクラスの技術力を誇るスタートアップだ。

 シンクモフの設立は2019年6月。創業者の畠岡氏は早稲田大学卒業後、科学技術振興機構に入構し、日系測定機器メーカーに出向した。新材料のモフに関わる物性測定装置の開発などに携わり、モフに事業の可能性を感じた。外資系コンサルティング会社への転職を経て、起業を決意。名大でモフの創製や物性評価装置の開発などを行ってきた堀彰宏氏とともに共同出資でシンクモフを設立した。堀氏は現在、副社長を務める。

 堀氏は岡山大学在学中に日本学術振興会で超伝導研究に従事し博士号を取得。理化学研究所、京都大学でモフのガス吸着現象の機構解明に取り組んだ実績がある。

 モフは、ナノメートルサイズ(1ナノは10億分の1)の細孔のある、ジャングルジムのような骨格を形成する金属有機構造体。気体や水分を貯蔵、分離などできる性質がある。構成する金属イオンと有機分子の組み合わせを変えれば特定した物質の吸着が可能。大気中の混合ガスからCO2など特定のガスを採取できる。世界で加工成形されているモフは10万種類以上あるという。

 シンクモフでは、AI(人工知能)を活用し、取引先の要望に応じた最適なモフを選定。モフを活用した装置などの開発まで総合的に提案し、製造、販売している。機器販売は全売上高の約5割を占める。

 5月に開かれた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の会場に、日本を代表するモフを活用した脱炭素推進企業として出席。各国の要人に対し、大気中のCO2を濃縮、回収できる手のひらサイズの超小型機などをアピールした。

 同社は、産業廃棄物処理のダイセキ(本社名古屋市)と排ガス中のアンモニアを吸着・回収する技術の共同開発も進めている。

 5~10年後の目標について、畠岡社長は「IPO(新規株式公開)は考えていないが、米国、アジアなどへの拠点進出を視野に入れていきたい」と話す。20年余りと歴史の浅いモフの業界では、物性評価など十分な開発環境を有する施設は世界的にも多くないため、海外への技術拠点展開により、名大で培った最先端の研究成果を世界に広げていきたい考えだ。

◇  ◇  ◇
 革新的なビジネスモデルで高い成長が期待される中部のスタートアップ企業を紹介する。

 【プロフィル】2019年6月設立。社員数は16人(23年9月末)、23年5月期の売上高は10億円以上。

全文1173文字

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