トヨタグループ8社決算、4社が最高益更新
予想以上
各社の決算会見で「車両生産に関して、もともと慎重にみていたが、足元で好調。この好調ぶりが続けば通期業績が上振れる」(デンソー・松井靖副社長)、「グローバルに車両生産の回復が進んでいる。想定以上だ」(トヨタ紡織・岩森俊一取締役執行役員)との声が相次いだ。各社の期初予想以上に得意先の生産が伸びたようだ。
トヨタ紡織の地域別セグメント収支でみると、アジア・オセアニアや中国事業の営業利益が2桁増になった。日本や北中南米、欧州・アフリカの営業損益も赤字から黒字に転換できた。
豊田自動織機も、自動車事業の営業利益が2・3倍の127億円だった。電動車に搭載するカーエアコン用電動コンプレッサー、車載電池やDC―DCコンバーター(直流電圧変換器)など電子機器が好調に推移したためだ。
原価低減
トヨタグループのお家芸といえる原価低減努力も健在だ。アイシンでは、製造現場を中心とする原価低減など「企業体質改善」で120億円分の収支改善効果を捻出したという。伊藤慎太郎副社長は「グループ全体で無駄な重複業務を統合し、固定費を減らしている。さらに現場で1秒1滴1グラムの改善を地道に積み重ねている」と強調する。
また、為替が円安に振れていることも、収支改善の追い風となった。4~6月は1ドル=137円、1ユーロ=149円とそれぞれ7円、11円の円安に。デンソーで45億円、豊田自動織機で44億円、アイシンで33億円、ジェイテクトで21億円の利益増につながった。
配当修正
24年3月期通期は6社が増収、全8社が純利益で増益を予想する。足元の好業績を受け、トヨタ紡織や愛知製鋼など4社が純利益を上方修正した。
加えてデンソー、愛知製鋼、豊田通商の3社は早々と年間配当も引き上げた。
ただ、中国やアジアの減速がリスク要因に。デンソーの松井氏は「タイで(車を購入する際の)ローン審査が厳格化され、やや弱含み」と心配している。また、豊田合成の安田洋副社長も「半導体不足の影響により、インドで日系メーカーの生産が計画に比べて下振れしている」と不安視しているようだ。
記事をもっと読むには・・・