名古屋市内ビジネス地区 オフィスビル相次ぎ竣工 23年床面積、3.2倍の17万平方メートル
目玉は中日ビル
名古屋ビジネス地区における今年の新築ビルの完成は6棟。目玉は、栄地区の「中日ビル(延べ床面積は約12万平方メートル)」。地上33階、地下5階建てで、9~22階をオフィスとして貸し出す。完工は7月で、オープンは24年春ごろを予定する。
7月以降は、名駅地区で4棟の新築ビルが完成する。8月に「エニシオ名駅(同2万平方メートル)」、9月は「フロンティア名駅(同1万7千平方メートル)」、11月に小型ビル、12月には中型ビル1棟が完工する予定。名駅地区は、名古屋の玄関口で新幹線が通る。そのため、県外企業から移転・拠点先として、昔から根強い人気がある。
24年も6月まで完成が集中しており、上期のみで計5棟が供給される。5棟を合わせた延べ床面積は約8万2千平方メートルとなる。
共用ラウンジ
愛知労働局によると、22年の愛知県の有効求人倍率は1・37。前年対比では18年以来、4年ぶりに増加に転じた。各業界で人員の増加に伴い、オフィスの拡張、移転需要なども活発化している。
回復するオフィス需要を呼び込むため、新たな動きがある。新築ビル内に、入居者のみが利用できる休憩所として、ホテルのロビーのようにソファを配置し、売店や食堂などを完備した共用ラウンジを設ける取り組みだ。
今年供給されるビルでは中日ビル、フロンティア名駅。24年は「(仮称)第2名古屋三交ビル」「名古屋丸の内一丁目計画」で共用ラウンジを設置する予定だ。より良いオフィス環境を提案することで、ビルの魅力を高める狙いだ。
既存から新築へ
今後、供給が増える新築ビルだが、コロナ禍での成約率は低調だった。21年の新築ビルの空室率は42・2%。22年は25・2%と、直近では珍しく2桁を記録した。
オフィス仲介を手がける三鬼商事の小池正親名古屋支店長によると、「コロナ禍では、経費削減で固定費(賃料)を抑える動きがあり、オフィス需要が減退。拡張、移転する場合でも、賃料が高い新築よりも割安な既存ビルへと需要が集中していた」と説明する。
経済活動の再開に伴い、新築ビルの成約率に回復の兆しがみえている。今後の空室率(新築、既存を含む)について、小池氏は「既存ビルから新築ビルへのオフィス移転が緩やかに回復するのでは」と予測する。
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