都市再開発特集
「密」回避が追い風
シェアサイクルに脚光
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、自転車を共有するシェアサイクルが脚光を浴びている。名古屋駅から栄エリアにかけてシェアサイクルを展開する事業者は、名鉄協商の「カリテコバイク」、ニュートの「チャリチャリ」(旧名メルチャリ)、栄ミナミまちづくりの「でらチャリ」。利用方法や料金は三者三様で、それぞれ特徴がある。カリテコバイクは同社が運営するコインパーキングの一角にもステーション(専用駐輪場)を設け、電動アシスト自転車をそろえる。料金は最初の30分が150円、以降30分毎に100円が追加されるほか、観光に便利な1日パス1500円も用意する。チャリチャリは1分4円。短距離を走る〝ちょい乗り〟需要を狙う。でらチャリは1時間100円、1日500円。競合2社の半額以下という割安な料金設定が魅力だ。
シェアサイクルは、観光地のレンタルサイクルとは違い、ステーション間を自在に移動できるのが強み。その利便性の高さから、鉄道網を補完するものとして、バスやタクシーと肩を並べる都市内移動手段となる潜在力を備えている。コロナ禍においては、いわゆる三密を避ける移動手段のひとつとして関心が集まっており、政府が示す「新たな生活様式」に自転車が含まれる。
かつて名古屋市は「名チャリ」という社会実験を行ったことがある。2009年の2カ月間、名古屋駅から栄エリアにかけて30カ所のステーションを設け、300台の自転車を用意した。登録者は3万強、総利用回数は約9万9000回。1台の回転率(1日)は平均5・5回だった。翌2010年、有料化したことで登録者は約1900人になり、総利用回数も3分の1程度にまで減ったが、1人あたりの利用回数は3・2回から13・8回と大幅に伸び、定着する兆しが見られた。
シェアサイクルに限らず近年、シェアリングエコノミー(共有型経済)のサービスが広がっている背景には、スマートフォンやソーシャルメディアの普及がある。テクノロジーの進化によって本人確認や決済が容易になり、安心してサービスを利用できるようになってきた。国土交通省によると昨年末までに全国159都市でシェアサイクルが本格的に運用されており、5年間で約3倍に増えたという。課題もある。都心で利便性をより高めるにはステーションの拡充が欠かせない。そこで名古屋市は、公共用地を複数の事業者が共同で使用できるステーション用地として提供し、事業者はそこにステーションを開設している。シェアサイクルの勢いは今後も続きそうだ。
三幸エステート名古屋支店長に聞く
名古屋オフィス市場の見通し
名駅・栄の空室率2.3%
好調な状況が続いておりました名古屋のオフィスマーケットも、新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きが不透明な状況になりつつあります。各企業がまずは新型コロナウイルス感染防止対策を優先していること、そして今後のオフィスのあり方を検討し始めたことにより、少し様子見をしているためです。
名古屋市内の空室率(全規模)は、2020年6月末現在2.94%と半年前の2.74%から小幅に上昇しましたが、需給バランスは引き締まった状態が継続しています。
主要エリアの空室率(全規模)も、名駅エリア2.3%、伏見エリア1.4%、栄エリア2.3%と、すべてのエリアで半年前から小幅に上昇しました。
ビルの規模別の空室率でも、大規模ビル(1フロア面積200坪以上)1.4%、大型ビル(1フロア面積100坪以上200坪未満)2.8%、中型ビル(1フロア面積50坪以上100坪未満)4.7%と、こちらも規模にかかわらず半年前から小幅に上昇しましたが、大規模ビルの空室率はいまだ1%台と、低い状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症の問題や、リニア中央新幹線(東京~名古屋間)の開業時期の問題など不安な要素はありますが、今後、名駅エリアだけでなく栄エリアの再開発が活発化し、名古屋中心部全体の成長が期待されます。