あいち女性輝きカンパニー特集
女性の活躍を阻む「夫は仕事、妻は家庭」意識
愛知県に根強い性別役割分担意識
女性の活躍推進が叫ばれて久しい。総務省の労働力調査結果を見ると女性の就業率は増加傾向にあり、15歳から64歳までのいわゆる現役世代と呼ばれる女性の10人に7人は収入を得るために何らかの仕事についていることが分かる。
一方で女性の声として「仕事と子育ての両立が難しい」「同じ仕事をしているのになぜ男性よりも給料が安いのか」「フルタイムで仕事をしたいのに希望する保育園がいっぱいで」など、不満や課題も多く聞かれる。こうした男女不平等感の根底にあるのは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」「男は仕事、女は家事・育児」といった性別役割分担意識ではないだろうか。
性別役割分担意識は、高度経済成長を背景に1960年代に強まった考え方だ。1986年の男女雇用機会均等法、1999年の男女共同参画社会基本法などを通して、女性の社会進出が増え、性別役割分担意識は薄まった。それでも調査結果を見るとまだ道半ばといった感がある。無意識の偏見といってもいいだろう。特に愛知県はその傾向が強い。
愛知県が県民に対して行った調査(2019年)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人の割合は50・6㌫。「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した割合40・7㌫を上回った。しかし、全国と比較すると反対派の割合は低く、性別役割分担意識がいまだ根強く残っていることが示された。育児や家事の負担が女性に偏っている状況は、女性が出産をためらい、少子化を招く大きな要因となっている。女性が仕事を続けるうえでも妨げとなる。
職場の風土を変えて男性の育休促進
育児休業取得率の傾向も性別役割分担意識と無関係ではないだろう。男性の取得率は大企業を中心に年々増加しているものの、依然として「育児休業を取りたくても、取れない」という自粛ムードが多くの企業に漂う。業務や昇給に支障が出るとの懸念や、育児は女性の役割という固定観念があるからだ。この育児休業取得率についても愛知県は全国と比較して、女性が高い半面、男性が低い。特に人員が限られている小規模企業では、育児休業による欠員で業務運営が難しくなり、どうしても自粛ムードが強くなりがちだ。しかし、そうした職場の風土を変えていかなければ、生き残れない時代になっている。2022年4月からは育児・介護休業法の改正によって男性の育児休業が一段と取りやすくなる。ひいては「仕事と子育ての両立が難しい」「なぜ男性ばかりが」といった不満が解消され、男女問わず活躍できる一億総活躍社会の実現に近づく。その基盤に欠かせない育休制度を使いやすくするには、企業の取り組みがカギを握る。