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ドローンの可能性に魅せられて DSA 代表取締役 梅原丈嗣
カンボジアで運命の出会い
梅原社長の経歴は異色だ。卒業旅行で訪れたインドで「人生観が変わった」と、内定していた旅行会社を辞退したのが始まりだ。
最初はハードなことで知られる大手運送会社に就職した。十八年勤めると一転、カンボジアに渡り居酒屋を始めた。日本式のおもてなしで人気店になったものの、こんどは高級リゾート地で「海の家」の経営に乗り出した。ここで運命の出会いがあった。
海の家の閉店時間が迫ったころ、二人のヨーロッパ人がジェットスキーを借りにきた。しかし、レンタル時間を過ぎても戻って来ない。気をもんでいると、友人が貸してくれたのがドローンだった。操縦を教えてもらって捜索すると、海上を漂う二人を見つけた。
「救助され、地上に立った二人の安堵の表情は一生忘れない」と梅原さん。人目をはばからずに泣き続ける姿が、ドローンと重なり心に刻まれた。これで起業の方向性が定まったという。
先生の顔も見たくない」
カンボジアの政策変化で海の家をたたむと、居酒屋の常連客だったドローン操縦士協会の会長との縁で、日本に養成学校を開校した。
カリキュラムは4日間と短いが、非常にハードだ。実習で使うドローンの重量は十五キロ、業務によってはさらに大きな機体を使用することもある。その機体が空から落下してきたらどうなるか、常に集中力を途切れさせないよう徹底的に教え込む。「受講生からは『先生の顔も見たくない』と言われる。確かに厳しいですね」
ドローン操縦は免許制になる。操縦技術の習得はもちろんだが、ドローンを使ってどう社会に貢献していくのか。その思いの根底には、救助した二人の姿が脳裏にあるからだろう。
Company Data
DSA
代表取締役 梅原丈嗣
愛知県春日井市味美西本町2263-5
0568-34-0106