中部経済新聞 購読者向け中経企業年鑑データサービス申し込み・ご利用はこちら
製造業のお困りをITで解決 ピノベーション株式会社 代表取締役 鳥羽伸嘉
試行錯誤が多彩なサービスに
創業時に海外生産で味わった苦闘をノウハウに、自ら製造するだけでなく、製造現場のサポートまで守備範囲にするピノベーション。製造業の知見とITを駆使し、顧客の課題を解決する。成長のカギは顧客との対話だ。
家業の後継者でもあった鳥羽伸嘉氏と、メーカーで研究職の鵜飼幸子氏が経営大学院で出会い、意気投合して2016年に起業した。最初に手掛けたのが、手すりなどの金属製品。中国で製造し、日本に納めるという流れだったが、これが難航。品質のバラツキや納品トラブルなど、思いもよらない辛酸をなめた。これらを乗り越え、解決した経験が今の多角化につながっている。
現在の主力事業は中国での製造業、IoT導入支援と管理、そして中小製造業の新規事業サポート。いずれも製造業が抱える「困りごと」を解決するという、同社のビジョンに深く結びついている。
企業の声をプラットフォーム化
今いちばん力を入れているのはIoT。
多くの企業の声に耳を傾け、ニーズを探り分析する。どんな顧客にも最大公約数的に対応できるIoTプラットフォームが開発できれば市場は広がるというのが狙いだ。
スタートアップにとってソフトウエア事業は固定投資が少なく、相性も良い。ソフトを商品化してネット販売すれば、固定的な投資を最小限にできると考えている。
人材に対する考え方も独特で、正社員とパートを区別しない。会社は「器(うつわ)」であり、そこに必要な人や資材、資金を投入すれば、より大きな価値を生み出し還元される。プロジェクトが終われば解散し、新たに次の器をつくる。経営層は事務局的な立ち位置で、プロジェクトの効率的なスクラップアンドビルドをコントロールする。柔軟で、独特な組織体が多様な業務を支えている。
最短で3年後の上場を目指している。実現するための成長エンジンとして製造業向けIoTサービス「カウンティッド」に注力し、新たなサービスを開発し深化させる。「もっと多くの中小企業の声を聞きたい」と語る鳥羽社長。日本の製造業の課題をITで解決するための挑戦が続く。
Company Data
ピノベーション株式会社
代表取締役 鳥羽伸嘉
名古屋市西区那古野2-14-1なごのキャンパス
052-325-2663