新業態、新エリア、新立地に挑む
ヨシックスホールディングス
代表取締役社長 COO 瀬川 雅人(せがわ・まさひと)氏
今期、北海道に進出、海外出店も
①足元の状況は
2025年3月期の売上高は229億円となり、過去最高を更新した。主力の寿司居酒屋「や台ずし」が好調だ。コロナをきっかけに来店客が減少する深夜の営業を縮小し、逆に営業開始を午後3時に早めた店を増やしてきたが、早い時間帯は家族連れや高齢者を中心に客入りが良く、増収に寄与した。新業態の餃子居酒屋「ひとくち餃子の頂」の売り上げも伸びている。
25年3月期の新規出店は当初計画より10店多い35店。出店効果も売り上げの押し上げに貢献した。
原材料価格や人件費などの高騰で足元の経営環境は厳しいが、原価率が上がらないよう留意しながら値上げ幅を抑え、集客に努めている。「や台ずし」では国産米の価格上昇に伴う値上げを抑制するため、一部店舗で外部委託する炊飯を自店対応にシフトして原価を抑える取り組みを進めている。割高感を打ち消すのに効果的なハーフメニューの品ぞろえにも力を入れている。
今後もコスト高が続く見通しだが、会社を強くするための試練と受け止めている。価格に対して価値ある商品、店づくりに努めて、お客さまに満足して頂けるよう努力を続けていく。
②現在の強化・重点事業は
26年3月期も引き続き、「や台ずし」で未開拓エリアへの進出を進める。すでに富山県に1号店を出店し、夏までに北海道、岩手県、秋田県に進出する予定だ。「や台ずし」の新店隣接地には「ひとくち餃子の頂」の出店も検討する。
26年3月期は海外出店にも乗り出す。東アジアを候補に、まずは「や台ずし」を1店出したい。これから複数国を視察し、進出先を決める。現地の食スタイルに合わせた形で展開し、1号店を足掛かりに海外で店舗を広げていく。
また、食の安全・安心に今まで以上に注力する。特に食中毒を引き起こすノロウイルスに警戒したい。店舗ではスタッフが1時間おきに手洗いするなど対策を万全にしているが、さらに徹底する。
③今後の成長戦略は
「新業態」、「新エリア」、「新立地」の3つをキーワードに、「や台ずし」に依存した一本足経営から脱却し、将来の成長を目指す。ロードサイドや商業施設など、「や台ずし」と異なる場所で運営が成り立つ業態を模索する。23年に事業譲受した食事主体の自然薯料理店(譲受後の店名・自然薯料理 和食 華花)はそのひとつで、2月に名古屋市港区でロードサイド店、4月には商業施設「ららぽーと安城」に出店した。現在、愛知県内で「華花」を5店展開するが、今後、出店を強化し、収益の柱に育成していく。
ラグジュアリーな超高層ビルに出店できる「や台ずし」の高級業態の開発にも挑戦する。新業態の確保に向けてはM&A(買収・合併)も視野に入れていく。
25年3月期末時点の店舗総数は382店。28年3月期に500店、将来的に3千店を目標に掲げているが、無理に数を追うつもりはない。重要なのは業績とお客さまに元気を持って帰ってもらう店づくりに徹し、既存店を着実に成長させることだ。その結果として店舗数がついてくればいい。


















