好調の「十割そば」、FC展開検討
ヴィレッジフーズ
専務取締役 榊原 正高(さかきばら・まさたか)氏
横のつながりを意識、人材育成にも力
①足元の状況は
来店客数はほぼ横ばいだが、売り上げは前年を5%ほど上回っている。これは仕入れ材料価格の高騰を価格に転嫁しているためであり、必ずしも利益に貢献しているわけではない。
その象徴が「米」。1年ほど前は1キログラム当たり300円ほどだったのが相次ぐ値上げで600円になり、この4月には、さらに高騰した。FC店舗の分も合わせて集中購入してスケールメリットを引き出してはいるが、一般の消費者がスーパーで購入するのと変わらないほど高騰している。
この高騰分を価格に転嫁しなければならず、主力業態であるかつ丼の「かつさと」においては2023年は12月に、24年は3回、25年も2月と4月の2回、値上げしなければならなかった。今年11月に入荷する新米の価格を交渉しているが「価格が下がる気配はない」と聞いている。先行きの交渉は厳しくなるだろう。
②現在の強化・重点事業は
米の仕入れ価格が下がらないため、価格を引き下げることは難しい。「かつさと」以外に和食の「みかわの郷」などを展開しており、そこで提供している「うどん・そば」は幸いなことに仕入れ価格が高騰していない。来店客がお値打ちに楽しめる「うどん・そば」を前面に出したメニューを充実していきたい。
実はかつ丼よりも和食の方が原価率が低く、利益への貢献度合いは高い。コロナ禍以降、新規出店を控えてきたが、今後はかつ丼と並行して和食の新規出店を再開する。
③今後の成長戦略は
新規出店は外食企業が成長するための生命線なので積極的に仕掛けていく。今年は「かつさと」を沖縄県とベトナム・ホーチミン、「みかわの郷・十割そば」を豊橋市と名古屋市、さらにマカオ。マカオには焼き肉店も出店する。年間の新規出店数は6店舗となる。過去最高は26店舗だから、まだ本調子ではないが、リ・スタートという気持ちで前向きにがんばりたい。
「十割そば」は21年7月、豊橋市にオープンして好調が続いている。多店舗化を検討してきたが、タイミングが合わず新規出店が延びていた。今年は豊橋市と名古屋市に直営で新規出店し、業態として弾みをつけたい。ワンコイン(500円)で提供できるお値打ち感は継続する。将来的には国内でFC展開も考えている。
新規出店に連動して人材育成も今まで以上に大切になる。店長、リーダー、新卒社員、アルバイトなど横のつながりを意識した研修を考えている。来店客に真心こめた笑顔で「いらっしゃいませ」といえるかどうか。接客の基本である「おもてなし」の気持ちを共有できる店舗運営を目指したい。


















