インバウンド集客を推進
スギモトグループホールディングス
代表取締役社長 杉本 達哉(すぎもと・たつや)氏
新規出店継続、〝ファン〟増やしたい
①足元の状況は
レストラン事業はコロナが明けてから伸び続けている。4月の全店売上高は前年同月比12%増、既存店ベースでも6%増だった。
焼き肉店は伸びがやや弱いが、東京にあるしゃぶしゃぶ・すき焼き店「スギモト本店東京スカイツリータウン・ソラマチ店」やステーキ店「オールドマンハッタン」(東武百貨店池袋店内)は集客が好調。土岐市にある牛まぶし・ステーキなどの肉料理店「キッチンスギモト土岐プレミアム・アウトレット店」も堅調だ。
スカイツリータウン・ソラマチ店はインバウンド(訪日客)の拡大効果で過去に例がないぐらい調子が良い。お客さまの7割をインバウンドが占めている。インバウンドは日本でしか食べることができない和牛、特に松阪牛、黒毛和牛の上質な料理を楽しみにしている。一人ですき焼きやしゃぶしゃぶを1万5千円分召し上がるお客さまも少なくなく、客単価の上昇にもつながっている。
4月25日に肉料理の新店「お肉膳スギモト」を松坂屋名古屋店にオープンした。松阪牛などを使用したすき焼き、しゃぶしゃぶを御膳スタイルで提供している。百貨店の来店客が中心だが、インバウンドも多く、立ち上がりは予想以上の客入りだ。
②現在の強化・重点事業は
今後もレストランの新規出店を続ける。今秋、岡崎市に開業する大規模商業施設にも出す。土岐プレミアム・アウトレット店と同タイプの店になる予定。来年は名古屋市内で誕生する商業ビルに肉料理の新業態店を出店する。
店舗拡大に並行して、インバウンドの誘客策を強化する。名駅の焼き肉店「名古屋うまいもん通り広小路口店」では外国人が好むメニューを開発、英語版のメニュー表もつくった。外食業界全体を見ても、インバウンドが多い店ほど業績が伸びている。今後もインバウンドの来店促進に一段と力を入れるつもりだ。
③今後の成長戦略は
当社グループでは11月に創立125周年を迎える杉本食肉産業を中核に、精肉の小売り、卸、レストランの3事業を中心に展開している。レストランは売り上げを上げるのはもちろんだが、スギモトの肉のおいしさを知ってもらうためのアンテナショップ的な存在でもある。当社の周知を目的にこれまで、地域のランドマークとなる商業施設を中心に出店してきた。今後も同じ考え方で出店を進める。
レストラン事業の売り上げ規模は年間15億円。出店強化やインバウンドの来店促進で5年後に30億円に引き上げたい。M&A(買収・合併)も視野に入れる。人件費が上がっていくので利益の拡大にも注力する。
会社としては、2028年3月期に売上高270億円(25年3月期実績220億円)を目指す中期3カ年経営計画をスタートさせた。業容拡大に備えて新工場の準備を進める。海外の和牛需要に対応して輸出も検討する。BtoC(一般消費者向けビジネス)に力を入れ、全国でスギモトファンを増やしたい。社会的責任に対する意識や待遇、働きやすさなどをさらに高め、企業として一流を目指す。


















