アバンティア 一戸建て住宅販売強化 売上高1千億円目指す 沢田社長インタビュー
一戸建て住宅の市場は近年、市場の在庫過多に伴う価格競争や、建築コスト上昇による物件価格の高騰など、厳しい状況が続いている。
アバンティアのセグメント別の業績で、主力の戸建住宅事業の25年8月期売上高は前期比16・3%減の455億円、営業損益は1億5300万円の赤字(前期は2億3500万円の黒字)と厳しい状況だ。
このほど策定した28年8月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、最終年度に売上高850億円(25年8月期692億円)、純利益20億円(同6億円)を掲げた。新中計では一戸建て住宅事業の立て直しを最重要課題と位置づけ、「30年8月期売上高1千億円という長期ビジョンに向け、この数年で種まきしてきた事業を花開かせる3年間にする」(沢田社長)と意気込む。
まず注力するのは、用地取得だ。良質な売れ筋の土地を確保できれば、値下げ競争に巻き込まれることなく、適正価格で販売できる。これまでにもキャリア人材の採用など不動産部門を強化しており、成果が出始めている。人材採用の強化などを通じ、より最適な用地取得を推し進める。
加えて、約1年前から規格型注文住宅「セレクトカスタム」、平屋専門ブランド「ラン」など一戸建て住宅の新商品を投入している。新商品の投入効果も引き出す考えだ。
さらに、利益面では一戸建て住宅事業の回復に加えて、相続税対策のアパートなどを建設する一般請負工事事業の成長を見込む。今年開始した加盟企業が同社商品を販売し、同社が紹介料を払い工事を請け負うパートナー制度「ビズフィル」にはすでに100社以上が加盟している。請負事業は契約時点で利益が確定するため、収益の安定に向け引き続き力を入れていく。
セグメント別の利益で、25年8月期に営業利益の6割程度を占めた不動産流通事業では、横浜での中古マンションのリフォーム再販が好調だ。需要が旺盛なため、大きな伸びを見込む。
新たな成長戦略としては、9月に米国に現地法人を立ち上げ、海外不動産市場へ参入した。来春には第1号案件を手掛ける見込みだ。このほか、国内外の市場を見据えた成長戦略について、「具体的な案件があるわけではないが、チャンスがあればM&A(合併・買収)戦略を進めたい」(沢田社長)と話す。
沢田社長は財務面において、「健全な企業価値の向上を通じて株主還元を実現したい」とし、業績回復によって自己資本利益率(ROE)を6・6%(25年8月期2・3%)へ引き上げた上で、自社株買いなどの株主還元の充実を図る方針だ。
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