JR東海、総工事費見直し リニア工事費上積み 物価高、追加工事響く 健全経営の維持注目
■軒並み上昇
上積みする4兆円のうち、物価高の影響が2兆3千億円に上る。鋼材やコンクリートなどの建設資材や建設発生土の受け入れ費用、労務費などが軒並み上昇しているためだ。今後も物価高が続く可能性を踏まえ、工事費がさらにかさむリスクに備える分も含めた。
追加工事への対応として1兆2千億円増やす。山岳トンネルの掘削エリアでは、当初の想定に比べてもろい地点があり、対策を追加して強固な構造物をつくる。さらに高架橋や名古屋駅地下などでも追加工事や対策強化を行う。
このほか、トンネルの下部構造など仕様の見直しにより4千億円追加する。
名古屋市内で会見した丹羽俊介社長は「計画している山岳トンネルの3割程度を掘ることができ、先々の見通しがつくようになってきた。合理的な要素を踏まえ、見込めるものは見込んだ」と総工事費見直しの理由を話した。
■膨らむ債務
巨額の工事費は、本業で稼いだ「営業キャッシュフロー(CF)」内の現金でまかなう。不足分は借り入れや社債で資金調達する。資金調達額は最大で2兆4千億円に上る。35年のリニア開業翌年の長期債務残高は7兆1千億円(25年9月末時点が約4兆7700億円)に膨らむと想定する。
丹羽社長は「一概には言えないが、長期債務残高の目安は営業CFの13~14倍」と言及。リニア開業翌年の営業CFは約6千億円と概算しており、長期債務残高が増えるものの許容範囲と捉えている。
総工事費の大幅アップが、リニア開業後の運賃・料金体系に影響するかは現時点で未定だ。丹羽社長は「運賃は、圧倒的な速達性やサービスに見合った価格にしたい。開業が近づいた段階で決める」と述べた。
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