名古屋銀行 自動車産業の支援体制拡充 生産改善や原価管理 プロ人材を派遣 累計相談500件超へ
コンシェルジュ増員
名古屋銀では、中部の主力産業である自動車産業の支援に注力しており、19年に専担部署「自動車産業サポート室」(現在は自動車サプライチェーン(SC)支援室に再編)を開設。23年10月には「未来創造プロジェクト(ミラプロ)」を開始した。自動車メーカーやサプライヤーのOBである「現場改善コンシェルジュ」をはじめとするプロ人材を取引先の現場に派遣し、ニーズに合わせた支援策を提案する取り組みだ。今年4月には、現場改善コンシェルジュをさらに1人増員し、支援体制を拡充した。
自動車や産業車両用パイプの加工を手掛ける新郊パイプ工業(本社名古屋市)は、多品種少量生産を強みとしている。一方で、多品種にわたる自動車部品の「段取り」作業の多さが課題だった。名古屋銀が提案する現場改善コンシェルジュを導入したところ、生産効率が改善。作業工程を一つずつ洗い出して時間を計測し、工具の配置や作業者の動線などを工夫することで、約31%の作業時間低減を実現した。
電子化、販路拡大も
自動車産業では、生産現場の原価改善による効率化が収益の向上に寄与する。原価管理に課題を抱えていた金属プレス部品加工を手掛ける事業者は、今年6月から名古屋銀のサポートを活用。紙で管理していた売り上げデータを、プロ人材が手掛けた専用フォーマットによる管理に移行した。デジタル技術の導入で業務効率を向上。材料費や人件費などのコストを詳細に見直すことで、原価改善につながった。担当者は「26年の売上高は対前年比で10%増を目指す。今後は現場改善についても(名古屋銀からサポートを受ける)専門家に相談していきたい」と話している。
プラスチックリサイクル材料の製造販売を手掛けるメイユー(本社岡崎市)は、24年6月から名古屋銀のサポートを受けている。自動車部品メーカーから調達した廃プラスチック材をリサイクルしているが、仕入れ資材が不足していたことから、販路の拡大に着手。仕入れ量の増加に対応した最適な事業提案で生産性が向上した。従業員1人当たりの生産量は支援開始から5%以上上昇したという。メイユーの川上浩伯社長は「当社の取り組みを理解し、適切なアドバイスをもらうことができた。現場全体の意識が変わったことも大きな成果だ」と手応えを感じている。
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