食品スーパー各社 働きやすい環境づくり推進 短時間の正社員制度 負担減へ電子札導入
大幅な賃金アップ
「間口を広げる。多様な人材が集まり定着してほしい」。マックスバリュ東海(浜松市)の人事教育部人事企画グループマネージャーの石黒義浩氏は力を込める。
所定労働時間を短くする「短時間正社員制度」を導入した。特長は「コミュニティ社員」と呼ぶ時間給社員らを対象にすることだ。制度を利用したコミュニティ社員は、正社員になれる。1日の勤務時間を5~7時間に抑えながら、賞与などが通常の正社員と同じ水準に変わる。大幅な賃金アップになる。2026年の第1弾の転換で、14人の短時間正社員が誕生する。
対象とするのは、コミュニティ社員の中でも店舗の副店長や部門チーフなどとして活躍する役職者。正社員に転換することで「意識が高まり一段と責任感を持って働いてくれる」(石黒氏)効果を引き出す。
心身ともに負担軽減
店舗営業を最適に見直す動きも。バロー(多治見市)は、今年4月から小型店15店で毎週火曜日を定休日に定めた。同時に棚卸しの作業を店舗の休日に実施するように変えた。かつては店舗の閉店後に夜遅くまで作業していた。現在は従業員の負担を軽減。今後の雇用確保につなげる狙いだ。
アオキスーパー(名古屋市)の切り札は、電子画面に商品価格などを示す端末「電子棚札」だ。本部から画面への表示内容を配信できるシステムで、各店舗で行っていた紙の値札の作成や印刷、交換を解消できる。7月から順に利用を始めている。
実は、紙の値札交換に伴う負担が大きかった。値札交換のタイミングは閉店後で、多い場合で1日100枚近くに上った。誤った値札をつけるリスクもあり、心理的なプレッシャーもあった。新たに電子棚札を取り入れたことで、心身とも負担を減らす。
アオキスーパーはこれまでも働きやすい環境づくりを幅広く進めてきた。レジ担当者がレジ打ちの合間に座る椅子の導入や服装のルール緩和、社員の奨学金返済支援などを実行しており、今後も取り組みを広げる考えだ。
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