名証、新規上場10年で10倍 個人投資家重視が浸透
30回の節目
名証は5日、名古屋市千種区の中小企業振興会館(吹上ホール)で、IR(投資家向け広報活動)イベント「名証IRエキスポ2025」を開幕した。上場企業や証券会社など135社が出展。今年で30回の節目を迎えるとあって、企業関係者や投資家など多くの来場者でにぎわう。会期は6日まで。2日間で8400人の来場を見込む。
IRエキスポは、上場企業と投資家が直接触れ合うことができるイベント。企業の業務内容や業績などをわかりやすく紹介するブースや、著名人による講演会、金融セミナーなどを実施する。
オープニングセレモニーで、名証の竹田正樹社長は「1994年のスタートから記念すべき30回を迎えることができた。出展企業の皆さまはぜひ対話の中で投資家が何を求めているのか、肌で感じてほしい」とあいさつ。また、「IRに対する企業の理解が深まっており、イベントの重要性も高まっている。個人投資家を重視する当社として、企業と投資家をつなぐ貴重な場になれば」とアピールした。理解深める
上場企業ブースでは開場直後から、IR担当者と投資家が積極的に意見交換する姿が目立った。今年3月にプレミア市場に上場した、ソフトウエア開発のシステムリサーチ(本社名古屋市)は初出展。担当者は「個人投資家と交流できるIRエキスポに魅力を感じ、上場の決め手にもなった。BtoB(企業向け)がメインなので、一般の方にも広く会社について知ってほしい」と期待を寄せる。
2007年から出展するスズケン(本社名古屋市)は「ブースには若手社員が立ち、事業や業績、還元内容について紹介している。投資家の皆さまとの交流を経て自社への理解を深め、新たな気付きを得てほしい」(担当者)といい、社員の成長にもつながっている。
次のステップ
新規上場企業数が年々増加している背景について、岡地証券調査情報室の森裕恭室長は「小型の銘柄にも関心が向きやすく、値動きの軽さも名証の魅力だろう」とみる。また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの塚田裕昭調査部主任研究員も「上場のハードルも低く、次のステップを見据えた成長性の見込まれる元気な企業が東海地域で増えているのでは」と分析する。
一方、今年新規上場した企業のうち、東海3県以外に本社を置く企業の数は18社。中京大学経済学部客員教授などを務めるエコノミストの内田俊宏氏は「相対的に低い上場基準は、企業にとってモチベーションになるが、投資家の視点でみると、企業の成長性の懸念材料になる」と指摘。「投資家ニーズに応え、上場を維持するための成長性を示す指標も必要ではないか」と話している。
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