チップトン 飛島の研磨機工場拡張 30億円投資、年内に用地取得
飛島工場(愛知県飛島村大宝3の25の1)の敷地面積は約4万平方メートル。150人が勤務し、主力のバレル研磨機や研磨石、晶析装置などを生産している。
バレル研磨とは、バレル槽(研磨容器)に工作物や研磨石、水、コンパウンド(バレル研磨用の洗剤)を所定の割合で充填(じゅうてん)し、バレル槽を回転させたり振動させたりすることによって、工作物を研磨する加工法。チップトンのバレル研磨機は、自動車業界や電子機器業界など、さまざまな業種で導入されている。バリ取りなど、製品の最終工程を担っている。
年内に、飛島工場隣接地の約2万平方メートルを取得し、工場の延べ床面積を約6万平方メートルへ拡張する。27年3月期には、研磨石などを収納するパレットが3千枚収納できる倉庫を建設。年千~2千トンの出荷に対応する。28年3月期から29年3月期にかけては、晶析装置や、バレル研磨用大型自動機の組み立て工場を建設する計画。
チップトンが手掛ける晶析装置は、液体や気体から結晶を精製する装置だ。外側の円筒を固定し、内側の円筒を回転させることで、両者の空間に1組の環状渦流(リングペア渦流)を規則的に生成する流体の流れ(テイラー渦流)を活用。混合作用によって化学反応を促進し、新しい物質を製造する。ワクチンなどのバイオ医薬品や、繰り返し使える二次電池用の正極材の製造に用いる。電気自動車の普及拡大に伴い、バッテリーの軽量化につながるナノ粒子の正極材が求められており、晶析装置の受注も伸びている。
小林社長は「今期(26年3月期)の売上高は21年3月期比1・5倍で着地しそうだ。なかでも伸長率が良いのが晶析装置で、現状は生産が逼迫(ひっぱく)している。当社として最大規模の投資で生産体制を整え、さらなる需要をつかんでいきたい」と力を込める。
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