三和化学研究所 次世代新薬開発へ 化学メーカーと研究推進 希少疾患治療の進歩に寄与
核酸医薬とは、生物の遺伝情報を担う「核酸」と呼ぶ物質を活用し、人工的に合成してつくられる医薬品。従来の医薬品では治療が困難とされる遺伝性の疾患や、患者数が5万人未満の病気とされる希少疾患などに対する新たな治療手段として期待されている。
三和化学研究所は、化学メーカーの日産化学と組み、核酸医薬を開発中。具体的には、日本で千人程度の患者がいると推定される遺伝性疾患「DRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)」の治療薬の研究開発を進めている。
三和化学研究所の磯野社長は、「当社が取り組むアンチセンス核酸(核酸医薬の一種)の医薬品は、国内では3品目、世界でも13品目しか承認されていないほど、開発例が少ない。当社にとって、核酸医薬の開発は初の試みとなるが、有望な薬の種となる化合物を見つけ出し、開発コードを付与できる段階までたどり着けたことは、大きな成果といえる。研究員たちも、患者やその家族に希望を届けたい一心で、意欲的に取り組んでいる」と話している。
このほか、三和化学研究所では、海外の新薬が日本で使用できない「ドラッグ・ロス」の解消にも動いている。ドラッグ・ロスが社会的な課題とされるなか、国内で承認されていない医薬品「国内未承認薬」の導入支援に取り組んでいる。三和化学研究所は昨年3月、スズケンと新薬の開発試験支援などを手掛けるEPSホールディングス(本社東京都)、医薬品や治験薬の受託製造を担う武州製薬(本社埼玉県)と協力し、国内未承認薬の日本市場参入を支援する組織「J―ENTRY Consortium(JEC)」を立ち上げた。4社がそれぞれの得意分野で海外製薬企業を支援している。三和化学研究所は、市場調査や承認申請、販売などの支援を担っている。
三和化学研究所の磯野社長は、日本での医薬品展開について、「医療制度や採算の壁が高く、海外製薬企業から敬遠されてしまいがちだ。しかし、すでにある薬が必要な患者に届かない状況は、極めて理不尽だと感じる。解決に向け、力を入れて取り組んでいきたい」と語り、「核酸医薬の開発とJECによるドラッグロス解消の両輪で、成果を出していく」と力を込めた。
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