大卒理系人材確保へ連携を 中経連が報告書
中部経済連合会は、報告書「中部圏における大卒理系人材の採用難を巡る背景と対応の方向性」を策定した。資本金や業種、文系理系、東京圏や関西圏との比較など、さまざまな観点から中部圏における大卒理系人材の採用難を巡る背景について考察。アンケート調査結果から浮き彫りになった課題を整理し、産学官や地域社会に向けた提言を取りまとめた。理系人材の育成・確保に向けて、中部圏の産学官・地域社会の一体的な取り組みが重要だとしている。
人口減少や東京一極集中に伴う地方の人手不足に直面するなか、各企業では優秀な人材の獲得に向けた採用活動に力を入れる動きが活発化している。
中経連が今年1~2月に会員企業を対象に実施したアンケート調査結果によると、2025年春入社予定の大卒人材における充足率(採用計画数に対する採用実績数の割合)が産業総計で90%以上との回答は、文系が61%に対し、理系は42%にとどまっている。26年春入社予定の充足率で90%以上を見込む割合は理系で37%と、今春比で5ポイント低下するなど、理系人材の採用難は依然として続くことが見込まれている。
報告書では、産業界として、企業の持つ研究施設の大学教育への活用や、企業の技術者と学生との交流機会の拡充などを指摘。大学には、企業が手掛けにくい基礎研究や、実用化に向けた応用研究の両面から課題発見、解決型人材の育成などを求めている。行政には、産学連携の後押しなどを期待している。
中経連は今後、多くの関係者に報告書を届け、大学と企業の人材育成に関する認識を共有。大卒理系人材をはじめとする若者の活躍と、中部地方の企業の競争力向上に貢献する。
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