全社員参加で運動会 中部企業のユニーク入社式 七福神が登場 能楽堂で式典
特別な体験
鳥羽水族館(鳥羽市)では恒例の「水中入社式」を3月31日に開催する。魚やウミガメが泳ぐ大型水槽(水深5・5メートル、幅16メートル)の中で、辞令書を交付する。
潜水士資格を持つ新入社員5人は、ウエットスーツの上にリクルートスーツを重ね着し、ボンベを背負って大型水槽に潜る。仕事への意気込みも水中マイクを通して職員や来館者に聞いてもらう。
総合広告業の新東通信(本社名古屋市)が4月1日に開く入社式は、七福神の衣装を着た”神”入社員7人が船に乗り、名古屋市内を流れる堀川に登場する予定。現地には会長や社長ら役員と企画を立案した1年目社員が待機する。全社員がリアルタイム配信でも見守る中、一人一人が垂れ幕を掲げて決意表明を行う。「何かおもろいことないか」という同社の精神を、入社式を通じて学んでもらうのが狙いだ。
エンジニアリング会社のタマディック(実質本社名古屋市)は1日に、能や狂言などを上演する名古屋市の能楽堂で入社式を実施する。伝統を後世に伝え世界に発信する拠点で、未来の技術者の門出を祝う。
入社でなく「入団」
自動車部品メーカーのアイコクアルファ(本社稲沢市)は、50年ほど前から入社式を「入団の集い」と称して開催している。社内ではチームで仕事に取り組むことを重視しており、かねてから野球チームに例えて入社することを「入団」と呼んでいる。今年も1日には15人が入団予定だ。
児童福祉施設の運営を手掛けるリィ(本社名古屋市)は、23年度から新入社員を含めた全社員がそろいの運動着に身を包み、シャトルランや大縄跳び、しっぽ取りなどで体を動かす入社式を開催している。1日には前年比約3倍の26人が入社を予定。式典は名古屋市のドルフィンズアリーナ第一競技場で行い、先輩社員を含め約200人が参加。8種類の運動種目を実施し、連帯感を高める。
特殊鋼専門商社の佐久間特殊鋼(本社名古屋市)は、1日の入社式後の夕方から新入社員と入社2年目までの社員との交流会を開く。毎年行っており、新入社員が職場の雰囲気や若手社員の仕事ぶりを知る場に生かしている。
大切な存在
労働人口の減少で採用環境が厳しさを増すだけでなく、雇用の流動性も高まっている。モチベーションの向上や早い段階から社内の一体感を高めることで、社員の流出を防ぐことが企業の課題となる。
新東通信の担当者は「新入社員には、当社にとって大切な存在であることを感じてもらい、入社してよかったと思ってほしい」と話している。
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