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中部企業 障害者活躍の場広がる 配電資材解体や自動車工場で 中小への波及が課題

中電ウイングでは、電柱から一般家庭に電気を送る電線などの配電資材を解体・分別する受託業務が拡大している
中電ウイングでは、電柱から一般家庭に電気を送る電線などの配電資材を解体・分別する受託業務が拡大している
 中部地方の企業で障害者の活用機会が広がっている。障害者の雇用に特別の配慮をした特例子会社では、新規事業を拡大する動きや、障害者を含め多様な人材が活用できる環境づくりが進む。ただ、中部経済の中心地である愛知県の企業では、障害者雇用率が法定基準を下回ったまま。法定基準は今後も引き上がる運びで、大手の動きが中小や小規模企業に波及するかが焦点となる。

新事業の受託拡大
 中部電力の特例子会社、中電ウイング(本社名古屋市南区)は、送配電会社の中部電力パワーグリッド(PG、本社名古屋市)からの受託事業が拡大している。電柱から一般家庭に電気を送る電線などの配電資材(通称・引き込み線)を解体・分別する業務について、2021年7月から新事業として受託。金具類や碍子(がいし)などの部品を解体し、再利用品や廃棄品に分別して中電PGに納品している。
 引き込み線を回収する対象事業所は、中電PGの名古屋市内4事業所で始まったが、足元は愛知県内14事業所にまで広がった。23年度の取扱量は15トン程度に上る。中電PGの熱田営業所(名古屋市熱田区)に設けた作業場は今年1月に同営業所内で移転し、従来比2倍の36平方メートルに拡大した。業務に取り組む中電ウイングの黒岩裕貴さんは「広くなり、作業しやすくなった」と充実した表情で話す。中電ウイングの串原石二特任部長は「安全を最優先に実績を重ねていきたい」と意気込む。
 エネルギー業界では、東邦ガスの特例子会社の東邦フラワー(本社名古屋市)が自治体や企業向けに販売してきた非常食の改良品を、BtoC(消費者向け)で新たに販売する予定。障害者の雇用促進と就労定着に努める方針だ。
自動車業界でも
 トヨタ自動車は、特例子会社のトヨタループス(本社豊田市)とともに障害者が働きやすい生産ラインを拡充している。部品の搭載ミスなどを防げるように改善したエンジン組立ラインを導入しているほか、本社工場(豊田市)の電池パック工程などにも同様の組立ラインを構築する予定だ。
 豊田合成グループで物流事業を手掛けるTGロジスティクス(本社一宮市)は、障害福祉サービス事業所の一宮市立いずみ作業所と協力し、TGロジスティクスの来訪者に手渡す土産用のクッキー製作を共同で始めた。いずみ作業所の利用者がクッキーを製造。豊田合成がパッケージをデザインし、TGロジスティクスでは障害がある従業員が箱の組み立てや梱包(こんぽう)作業を担当する。いずみ作業所の関係者は「クッキーを多くの方に召し上がっていただくことは大きな励みになる」と話している。
危機意識を共有
 愛知県の障害者雇用は4万1千人超、実雇用率は2・36%と、いずれも過去最高を更新した(24年6月1日現在)。一方で法定雇用率(民間企業2・5%)や全国平均値(2・41%)を下回っているのが現状。愛知は企業のすそ野が広く、従業員40~100人未満では障害者の実雇用率が1・85%にとどまっているのが課題だ。
 26年7月には法定雇用率が2・7%に引き上げとなることから、愛知労働局と愛知県は1月、愛知県内の経済5団体(愛知県経営者協会、愛知県商工会議所連合会、愛知県商工会連合会、愛知県中小企業団体中央会、愛知中小企業家同友会)に対し、それぞれ障害者の雇用確保・促進に関する要請を行った。
 愛知中小企業家同友会への要請では、同会の高瀬喜照会長が「障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく働くことができる企業経営を目指す」と決意を語っている。

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2025年10月10日(金)
しんきんビジネスマッチング「ビジネスフェア2025」

ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)第3展示館
主催:ビジネスフェア2025実行委員会

東海地区34信用金庫の取引先が、ポートメッセなごやに自慢の商品、技術、情報、知恵を持ち寄って、展示・PRします。

2025年11月22日(土)~24日(月・祝)
Japan Mobility Show Nagoya2025

ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)
主催:中部経済新聞社、TOKAI RADIO、中日新聞社、中日スポーツ、東海テレビ放送

JAPAN MOBILITY SHOW 2025に出品された国内外の四輪・二輪車メーカーのコンセプトカーや最新市販車に加えて次世代モビリティに関する展示のほか、各種試乗会などの体験型催事など各種イベントの開催を予定します。

2025年11月22日(土)~24日(月・祝)
あいちITSワールド2025

ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)
名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地
9:00~18:00(最終日は17:00まで)
主催:愛知県ITS推進協議会、中部経済新聞社

「市民参加」や「ITS体験」を特色とした「ITS世界会議愛知・名古屋2004」の理念を継承し、愛知県がITSの先進県としてさらに発展していくことを目指して2005年にスタートしたイベント。

2025年11月22日(土)
第11回 全国高校生コマ大戦
Japan Mobility Show Nagoya場所

ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)
名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地
主催:中部経済新聞社、全日本製造業コマ大戦協会

2025年、11月に開催する「Japan Mobility Show Nagoya 2025」会場において「第11回全国高校生コマ大戦」を開催します。今回の大会では、東海地区の高校生を中心に全国から100チーム(予定)参加を募って実施いたします。