フルーツで〝緑の屋根〟を 三菱電機名古屋製作所 ミストや水やり自動化 「IoTグリーンシェード」 万博会場にも設置、26年度事業化へ
「IoTグリーンシェード」は、葉が生い茂りやすいパッションフルーツを使って日差しを遮り、さらにミスト(霧状の水)を出して気化熱により空間を涼しくする”緑の屋根”。オープンイノベーションを推進する三菱電機の事業の一環で、2019年度からスタートアップと組み始めた。
シェードは、ミストや気象センサー、人工知能(AI)カメラ、シーケンサー、照明、土壌センサーなどの機器で構成。温度や湿度、土壌などの状態に合わせてミストの噴霧や植物への水やりを自動で制御する。遠隔地から、状態をモニタリングすることもできる。また、枝葉から細かな繊維素材「セルロースナノファイバー」をつくり、三菱製インバーターの樹脂カバーなどにアップサイクルする試みも行っている。
標準の設定では、気温が30度以上になるとミストを自動噴霧。検証によると、シェード内は外よりも7度程度涼しくなる。熱中症予防の指標となる「暑さ指数」では、2段階の緩和効果があるという。
22年度以降、公園や都市庭園、商業ビルの屋上などで実証を重ねてきた。昨年は、新東名高速道路の岡崎サービスエリア(岡崎市)にも期間限定で設置した。AIカメラで、滞在人数や属性、滞在時間などのデータを収集する取り組みも行った。
今年は、4月に開幕する大阪・関西万博の会場にシェードを設置する予定だ。大きさは幅7・8メートル、奥行き7・8メートル、高さ3・7メートル。新しく、生成AIを駆使した植物の自動育成にも挑戦する。
三菱電機名古屋製作所オープンイノベーション推進部の白井靖士主任は「顧客の課題を解決するソリューション。26年度の事業化を目指したい」と話す。ショッピングセンターや公園、カフェ、無人駅、工場、ビルなどの需要開拓を進めていく。
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