中国人客増えてます 国慶節商戦が本番 円安背景ブランド品好調
中国線2・7倍
「平日でも高い搭乗率は、国慶節の影響が大きい」と手応えをつかむのは、日本航空(JAL)の担当者。中部空港|上海線を週5便運航し、1~3日の上海発中部空港着の搭乗率は92・6%だった。
10月の中部空港における中国線運航は週109便で、23年同月比の2・7倍に。JALや中国国際航空の上海線再開、深〓(圳)航空深〓(圳)線、厦門航空杭州線の新規就航などが加わったためだ。コロナ禍前の19年の中国線週159便には届かないものの、「国慶節に限らず全体的に中国客の需要が高まっている」(中部空港担当者)と話す。
免税売上高7割増
久しぶりの本格商戦にうれしい悲鳴を上げるのは百貨店業界。
松坂屋名古屋店(名古屋市)は海外高級ブランド品が人気で、1、2日の免税売上高は前年同期比63・9%伸び、19年実績も超えた。免税カウンターを訪れる顧客のうち中国人比率は52・5%(23年は34・7%)と上昇。担当者は「日中関係は(緊張が)あるが、個人では純粋に買い物を楽しんでいる」と感じている。
名鉄百貨店(名古屋市)は1、2日の免税売上高が15%増だった。免税の平均金額は4万円で、時計やハンドバッグ、化粧品などに引き合いがある。
名古屋三越栄店(名古屋市)は1~3日、免税売上高が19年比で約7割伸長した。セルフサービス式の免税手続きの機械を1台増設し、3台にしたことで顧客の待機時間短縮につなげている。
名鉄生活創研(本社名古屋市)は、運営する土産物店「名鉄商店」に自律走行型AI(人工知能)サービスロボットを設置。中国語にも対応しており、商品紹介などが可能なため、中国客の購買を増やす効果を見込む。
半数が中国人
商戦の恩恵はホテル業界や観光地にも。
名古屋マリオットアソシアホテル(名古屋市)は通常、外国人宿泊客における中国人の割合は1割程度だが、国慶節期間中は4割程度に。「コロナ前や昨年と比べても増加している。セントレアの便数が回復してきたことなどが影響しているのでは」(担当者)と分析する。ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市)も、外国人宿泊客の約半数を中国人が占めるという。
一般社団法人白川郷観光協会(岐阜県白川村)の担当者は「今月に入って手荷物預かりや道案内などをしていると中国人観光客がほとんどで、9月までと比べて2倍ほど増えていると感じる」と話している。
一方、名古屋城総合事務所(名古屋市)の担当者は「コロナ禍以降、中華圏からのお客さまには多くご来場いただいているが、国慶節でとりわけ増えている実感はない」との声も。
観光地間の集客競争が激化しているほか、中国経済の停滞で以前ほどの旺盛な消費は見込みにくい。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの塚田裕昭調査部主任研究員は「円安とはいえ円高に振れつつあり、コロナ前の爆買いから消費傾向は変わっている」と指摘する。
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