取材ノート 元気な中小製造業、取材したい
上場企業による2023年4~9月期の決算会見が終わった。多くのメーカーで原材料やエネルギー価格の高騰、人手不足などが企業の利益を圧迫した。一方で、半導体の供給制限緩和や、円安による為替利益が減益要因をカバーし、過去最高益を更新したメーカーも目立った。
ただ、大手メーカーの足元を支える中小企業からは「原材料の高騰を十分に価格転嫁できない」「海外メーカーに仕事を奪われ、受注量は減るばかり」「業容拡大を検討しても、人が集まらない」と、悲痛な声が聞こえてくる。
取材先の中小鋳造メーカー社長は「不動産の有効活用によって安定収益の柱を構築し、本業の減益をカバーする」と、生き残りの対策を必死で講じる。社長は鋳造の仕事に誇りを感じ、先代の父とともに日本の製造業を支えてきたことに自負を持つが、本業の中長期的な見通しは立っていないようだ。
90年代のバブル経済が崩壊して30年。そろそろ日本経済が立ち直り、元気な中小製造業の取材で忙しいくらいの記者生活を送れないだろうか。
■倉科 信吾(くらしな・しんご)知多半島エリアを担当。今年10月には6年ぶり開催の「はんだ山車まつり」を取材した。2007年は「名古屋港の開港100周年」、16年は「伊勢志摩サミット」を取材するなど、大きな節目の取材機会に恵まれている。
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