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メトロ電気工業設立70周年

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産業用カーボンヒーター「オレンジヒート」の開発と製造を手掛けるメトロ電気工業(本社安城市横山町寺田11番地1、電話0566-75-8811)は、ことし設立70周年の節目を迎えた。1913年の創業以来、特殊電球製造からこたつヒーターメーカーとして飛躍を遂げ、現在は脱炭素社会の実現に貢献できるオレンジヒートの普及に力を注いでいる。メトロ電気工業がこれまで歩んできた道のりと、これから進む方向について川合誠治社長に聞いた。

恒成:メトロ電気工業は創業108年、会社設立70周年を迎えました。長い歴史の中で主力となる製品の移り変わりや、さまざまなご苦労があったのではないですか。

川合:1913年、前身となる会社が「メトロランプ」の商標で白熱電球の製造販売を始めました。当時、エジソンが設立したゼネラル・エレクトリック社の技術者が派遣され横浜で創業したと聞いています。メトロブランドの「メトロ」は、ギリシャ語で「物の母」「万物の核心」という意味です。関東大震災、戦争など幾多の困難を経験しつつも一貫して電球をつくり続け、メトロブランドとその精神は今日まで脈々と受け継がれています。

戦災を避けるために1944年に愛知県安城市に愛知工場を新設移転し、1951年にこの愛知工場の設備と人員を引き継ぎ、現在のメトロ電気工業株式会社が設立されました。当時は白熱電球はつくれば売れる時代でしたから、東芝や松下などの大手メーカーが量産体制を整え全国に構えた系列店で販売を始めました。当社のような規模ではとても太刀打ちできないので、大手が参入してこない特殊電球に転換し、電光表示盤用電球、劇場照明、電子レンジ用電球、冷蔵庫用電球などニッチなものや新しいニーズに対応してきました。転機がやってきたのは1957年。大手家電メーカーが赤外線こたつの販売を始めた時です。

恒成:当時の家屋は断熱性が悪かったですから、赤外線こたつは画期的でしたね。

川合:家電メーカーがこぞって参入し爆発的に売れました。1963年に暖房用赤外線電球の量産化に成功した当社は、電球を自社でつくっていないこたつメーカーに販売するようになりました。その後家具メーカーによって座卓にヒーターをつけた家具調こたつが誕生すると、家具調こたつ用ヒーターユニットの製造販売も手掛けました。1990年代には、こたつ用赤外線電球とヒーターユニットが当社の主力となり、光源メーカーから熱源メーカーへと転換を図ってきたわけです。

恒成:今では照明がすっかりLEDに置き換わっています。先を見る目があったということですね。

川合:照明としての白熱電球は、2012年までに生産を中止するようにとの国の要請が出され、省エネルギー性能が高く長寿命のLEDに置き換わっていきました。LED素子があれば器具と一体型の照明が簡単につくれます。そういうものは一時期売れても海外から入ってくる安い製品に負けてしまいます。

恒成:こたつから今のような産業用加熱器へ徐々に転換をしていかれました。

川合:当社の主力はこたつ用のヒーターユニットで、市場占有率は80%を超えていますが、住宅の断熱性も向上していますので、今後右肩上がりでいく事業ではありません。エジソンのつくった白熱電球は竹の繊維をカーボンにして真空の中に封じ込めて電気を通すことで光と熱を発生させます。当時は光を利用していましたが、私どもは白熱電球の熱を利用することを考え、熱源としての特性に目を向けました。
ですからエジソンの考えた白熱電球自体がカーボンヒーターなんですね。

恒成:扇風機型のハロゲンヒーターというものもありましたね。

川合:ハロゲンヒーター管は2003年当時、当社の主力商品でした。熱量が大きいので離れた場所でも暖かいですが、反面近くが熱過ぎて布団やカーテンが焦げる事故が起きていました。内部の接続が悪く発熱して樹脂が溶けて発火した製品もありました。発売当初は爆発的に売れましたが、3年目には市場からほとんど姿を消しました。

当社のような中小企業は、大量に売れる市場では競合する大手には太刀打ちできません。誰にもまねができないような熱源をつくりたい。もっとハイパワーのヒーターをつくれば売れるのではないか。それまで狭い範囲を短時間で高温加熱するためにガスが使われていましたが、電気ヒーターで実現できれば安全で環境にも優しい。産業用で主に使われているガス加熱方式を電気加熱方式に転換できると考えました。

恒成:マーケットを予想して開発されたのですか。

川合:もう勘だけですよ。材料を変えて固くて熱に強いもので高温のヒーターをつくれば、今までの電熱ではできなかった加熱工程に使えるのではないかと考えたのです。それができるのがわれわれ光源メーカーの強みでもあります。ただ、熱源に最適なフィラメントがなくて苦労しました。

恒成:産業用はガス加熱が根強いですね。

川合:ほかのもので代替えできるとは考えられていませんでした。当社の「オレンジヒート」は、高純度の炭素繊維をフィラメントに加工し、不活性ガスと共に耐熱性の高い石英管に封入したものです。連続使用が可能で高い安全性と作業性が得られます。ガス加熱方式に比べエネルギー効率に優れ、二酸化炭素も発生せず環境にも優しい。少量多品種の製造も可能で、現在、自動車の塗装乾燥、金型加熱、食品加工などさまざまな分野で活用されています。

恒成:外食産業や自動車産業へはどのように展開されたのですか。

川合:大手電力会社各社と関連するメーカーが参加する団体があるのですが、加入と同時に中部電力との技術交流ができたことが大きいですね。現在も機器の共同開発に取り組んでいます。

私たちも「こういうものにも使えますよ」と提案する形で試作機を展示しています。電熱というと600度ぐらいしか上がらないシーズヒーターのイメージしかないですから、実際に見てもらうのが一番なんです。安全面、電力容量の大きさなどの問題から自社で実験ができないメーカーのために、金型など加熱したいものをお持ちいただき実験してデータを持ち帰る、そんな場を提供しています。

恒成:自動車の生産ラインの中でもガスから電気へ切り替わっているわけですね。

川合:エンジンのシリンダーヘッドの金型加熱は、最初480度ぐらいに加熱してから溶けたアルミ合金を流します。このとき温度を上げておかないと金型が割れたり流れ込む前に固まってロスが出ますから、ガスバーナーで熱しています。バーナーの先が当たるところと当たらないところでは温度差が大きいですし、小さな部品に当たると金型の劣化が早くなります。温度も均一に加熱できないので製品の不良率も高い。こういう部分や職場環境を含めて電気に変えていこうという流れはありますね。

恒成:今、特に関心をお持ちの分野はありますか。

川合:一番関心があるのは食品業界です。例えば煎餅(せんべい)は3~4メートルの炉の中をコンベアが通って焼き上げていきます。炉の中の温度はそう簡単には上げられませんし、下げることもできません。一定の温度の中で焼き上げるので、焼き過ぎた場合はコンベアの速度を速め、焼き足らない場合は遅くすることで調整しています。当社の煎餅焼き機はコンベアの上下に「オレンジヒート」がついていて、一本一本が制御できます。一定の温度で焼き上げるのでなく、最初はゆっくり焼いて、途中で温度を上げて、その後ゆっくり冷ますということが自由にできるので、食感の違う煎餅も焼くことができるんですよ。

「オレンジヒート」は炭火焼きに近い熱源ですから食品をおいしく焼き上げ、温度制御もしやすい。安価で設計自由度が高いのですが、食品業界はガラスに非常に拒否反応が強いのです。この誤解を解いて意識を変えてもらうのに時間がかかりました。

恒成:近い将来実用化されそうなものはありますか。

川合:最近取り組んでいるのが中華レンジです。中華で使うガスレンジは2万キロカロリー。そのため夏場の厨房は灼熱状態。それを電気に変え快適に調理できないか。1分かかってつくっているチャーハン1人前を30秒でできないかと考えたのです。実際に中華料理の料理人の方に来てもらって試験をしたところ、ガスよりパワーがあり使い勝手は悪くないとのことでした。ヒーターは水がかかっても割れませんから扱いやすく掃除も楽です。実用化できれば厨房はとても快適になるでしょう。

恒成:70周年を機に考える会社の未来についてお聞かせください。

川合:メトロ電気工業がさらに発展するためには、エンジニアリング事業を主力として総合的な力をつけていかなければなりません。今後は開発スタッフ、販売スタッフの充実も図り、顧客のニーズに応えたいろいろな提案をしていきます。

そのために今後最も重要なのは社員からのボトムアップ提案です。私どもは社員一人ひとりの声を拾い上げる場を設けています。経営側と社員間のコミュニケーションを図るために行っているワークショップもその一つです。現場で働く人たちにしか見えないこと、分からないことを私どもがしっかりと拾い上げ、今後の意思決定、事業展開に生かしていきたいと考えています。

会社の方向性も分からないままでは社員のモチベーションは上がりません。私は社長として、どんな会社にしたいのか、どんな製品を提供したいのか、どんなニーズに応えたいのか、信念を持って明確なビジョンを打ち出していきます。 社員との信頼関係を築き、同じベクトルに向かって注力できれば、70周年を迎えたメトロがより飛躍できると思っています。

恒成:ありがとうございました。
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