環境特集
帯水層蓄熱システムの活用で空調を省エネ化
地下深くの特性を活用
2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は、万博で「脱炭素」の取り組みを推進する。その最新技術のひとつが帯水層蓄熱システムだ。
この技術の特徴は、地下深くの帯水層と呼ばれる地層に含まれた地下水を利用することにある。ある程度の深さにある地下水は、温度が一定している。その特徴をいかして、特殊な井戸によって、帯水層から地下水をくみ上げて熱を取り出し、主に業務用ビルの空調に利用するというもの。空調に使う電力が大幅にカットできる。
一般的な空調は、夏場の冷房時、室外機からヒートアイランド現象の原因でもある熱風が出る。帯水層蓄熱システムでは、熱エネルギーを地下水と交換するので、熱が大気に伝わることがない。そのためヒートアイランド現象の緩和にも有効と考えられている。
この大規模な帯水層蓄熱システムを愛知県でいち早く導入するのが愛三工業(愛知県大府市)だ。導入するのは2025年4月に竣工予定の安城新工場(仮称)。従来の空調システムに比べ約52%のエネルギー削減が見込まれるという。そのほか、省エネ技術や創エネ技術も導入し、工場全体のカーボンニュートラルを目指す。