工作機械/製造業の課題解決へ/製品やサービスの開発加速/23年の受注額減少も高水準の受注は継続
需要の山と谷を繰り返しながら、成長する工作機械業界。製造業各社のコロナ禍からの設備投資の再開で、高水準の受注環境が続いてきた。業界の好不況を判断する目安とされている日本工作機械工業会(日工会)の毎月の受注総額「1千億円」は、2021年2月から丸3年間、上回っている。中部地方の工作機械や設備機器関連メーカーは、自動化や脱炭素化など製造業各社が抱える課題の解決に向けて、製品やサービスの開発を加速し、提案を進めている。
■調整局面
日工会によると、23年の工作機械受注額は、前年比15・5%減の1兆4865億円。高水準ながらも、減少は3年ぶりと調整局面になった。コロナ禍からの回復をけん引したペントアップ需要や、半導体関連需要、自動車関連需要が落ち着き、中国経済の減速の影響も受けた。受注額の水準としては過去7番目だった。
内訳は、内需が前年比21・0%減の4768億円と、3年ぶりの5千億円割れ。業種別にみると、全11業種中10業種で前年比減少した。主要4業種では「航空機・造船・輸送用機械(7・0%増の202億円)」を除いて10%以上の減少に。特に、半導体関連での受注が多い「電気・精密(33・3%減の577億円)」と「自動車(25・3%減の1006億円)」で減少が目立った。
一方、外需も3年ぶりに減少し、前年比12・7%減の1兆97億円。ただ、1兆円の大台を3年連続で上回り、過去6番目の水準となった。アジアでは中国を中心に減少したものの、欧州、北米はインフレ懸念を跳ね返して底堅く推移し、円安基調も追い風に月平均841億円と堅調な水準を維持した。
■根強い需要
足元は調整局面にあるものの、「自動化」や「脱炭素化」など製造業各社が抱える課題の解決に向けた設備投資の需要は依然、根強い。工作機械メーカーの「メッカ」ともいわれる中部地方の機械メーカーや設備機器関連メーカーは、人手不足への対応や生産性向上、省エネルギーをうたい、提案に力を入れる。
昨年10月に、名古屋市港区のポートメッセなごやで開かれた工作機械の大規模展示会「メカトロテックジャパン(MECT)2023」には、過去最大となる492社・団体が出展した。
オークマは、「自動化」「脱炭素」「デジタル化」をコンセプトに掲げ、ロボットを機内に組み込んだCNC(コンピューター数値制御装置)旋盤と立形マシニングセンター、複合加工機、5軸制御立形マシニングセンターの新製品4機種を出展した。いずれも、新開発のCNC(コンピューター数値制御装置)を搭載し、誰でも簡単に操作しやすい点などをPR。家城淳社長は「(高精度・高生産性かつ省エネルギーの)グリーンスマートマシンを提案する」と力を込めた。
FUJIは、開発したばかりの、複合加工機の新シリーズを初披露。1台で複数種類の加工ができることから、自動車分野で求められる「変種変量生産」への対応を打ち出した。製造業各社のものづくりの現場を、新しい製品やサービスで、支えていく。
















