観光/富裕層向けリニューアル/外国人スタッフ定着にも力/名古屋のホテル、増加する訪日客に対応
訪日客が増加する中、名古屋市内のホテルはリニューアルや外国人スタッフの定着を図り、訪日客対応を強化している。レストランに個室を設けたり、宿泊者専用ラウンジを用意したりと特別感を高めるほか、外国人スタッフ同士の交流会も開き、働きやすい環境づくりに取り組んでいる。
■より高級感を
名古屋観光ホテル(名古屋市中区)は2023年度、リニューアル工事の第1弾を終えた。レストラン個室をはじめ、富裕層の宿泊客専用ラウンジなど高級感を出すことで他ホテルと差別化している。
18階の宴会場をリニューアルしたレストラン「サロン エスコフィエ」は、2人から利用できる「ONTAKE」、最大30人まで利用できる「SUZUKA」、「IBUKI」の3室を用意した。白と金を基調とした内装で、ラグジュアリーな空間に仕上げた。
また同階には、富裕層の宿泊客向けの専用ラウンジ「エスパシオラウンジ」を開設。専任スタッフによるきめ細かなサービスを提供するほか、朝食やアフタヌーンティーなども楽しめる。
ホテルの窓口となるフロントレセプションは、1階から6階に移転した。よりプライベート感のある空間でチェックインの手続きができる。
地下1階には「大人の隠れ家」をコンセプトに、焼き鳥店「八百万」、コース形式でおでんを楽しめる「拍子木」がオープン。日本酒セラーも併設し、両店の食事と併せて日本酒を味わうことができる。
なお、24年度にも第2弾の改装をレストラン中心に実施する予定。
■外国人スタッフ
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市中区)は、23年3月に外国人スタッフの交流を促す「ユニバース交流会」を発足した。正社員や、正社員に準ずるアルバイトなど外国人スタッフに加え、島原東総支配人らオブザーバーも参加している。名古屋市内のホテルでは珍しい取り組みだという。
毎月1回、定例会を開き、それぞれが抱える悩みや、各国の文化を共有する。また社内広報紙を作成し、1人ずつスタッフを紹介するほか、愛知県内のホテルを視察する。
これまでに中部国際空港セントレアホテル、フォーポイントバイシェラトン名古屋中部国際空港、名古屋マリオットアソシアホテル、名古屋JRゲートタワーホテル、ストリングスホテル名古屋、名古屋プリンスホテルスカイタワーをめぐった。
短時間勤務の学生バイトや外注の外国人スタッフも含め、今後はさらに交流会の参加対象を広げる方針だ。
島原総支配人は「訪日客が増える中、外国人スタッフの存在は大きい。これから入社してくる外国人スタッフのためにも、今いるメンバーを核として、長く働ける環境を整えたい」と話している。