食品/参加型のイベント、相次ぎ復活・拡充/安心安全な食の取り組み紹介/消費者から選ばれる企業へ
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月に季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移行後、食品業界では、一般消費者を対象にした参加型のイベントを相次ぎ復活・拡充させている。食品流通などに関する安心安全な取り組みを直接伝え、地域社会の発展にも貢献することで、消費者から選ばれる企業を目指している。
■食品ロス削減
井村屋グループでは20年度に「食品ロス削減活動AtoZ」を立ち上げ、グループ全社で協働して食品ロス削減活動を進めている。具体的には、原材料、生産、出荷の各段階での廃棄量を明確にして食品ロスの発生を抑えるのと同時に、生産副産物については、廃棄物などを付加価値の高い商品に変える「アップサイクル」する方針で検討を重ねてきた。
豆腐生産時の副産物である「生おから」は食品ロス廃棄量に占める割合が最も多く、その有効活用については長年の課題だったが、22年度に業務用冷凍おから「井村屋雪花菜(きらず)」として販売を開始。地元三重県を拠点とするスーパーに総菜原料として採用された。さらに23年度は、全国展開するホテルチェーンの朝食メニューとして、冷凍おからを使用したおから肉団子の提供が開始された。今後も食品メーカーとして、食品ロス削減を喫緊の課題として捉え、活動を進めていく方針だ。
■職業体験行事
米穀卸のハナノキ(本社北名古屋市)は、コメを活用したSDGs(持続可能な開発目標)に関する活動を推し進めている。北名古屋工場と瑞浪工場は、食品衛生管理に関する国際規格「HACCP(ハサップ)」手法を精米製造に導入し、「精米HACCP」の認定工場となっている。品質管理の面では、顧客のニーズに的確に対応するため、従来の食味試験に加え、専用の分析機器を品質管理室や工場に導入して科学的なデータ分析を実施。安全安心の徹底に万全を図っている。
地域に対しては、子ども食堂にコメを寄付しているほか、地域のイベントにも積極的に参加。今年2月に北名古屋市健康ドームで開催された、小学生のための職業体験イベントに出展した。北名古屋市内の小学生らに対し、玄米を計量した後に小型精米機を使って精米し、袋詰めまでを行う体験の場を提供している。
■4年ぶり開催
砂糖メーカーの伊藤忠製糖(本社碧南市)は昨年12月、4年ぶりにサトウキビ収穫体験会を同社に併設する畑で開いた。地域の住民ら160人以上が参加した。
新型コロナの影響でしばらく開催を見送ってきたが、今回で5回目の開催となった。8月時点で背丈が低く、心配な時もあったが順調に成長。糖度が20度を超える立派なサトウキビに成長した。当日は12月としては暖かく、絶好の収穫日和の中、サトウキビの収穫と搾りたてのジュースの試飲も行った。
また、砂糖の紹介コーナーとして、同社製品、商品の展示や砂糖精製の工程パネルを展示。参加した客からは、砂糖精製方法などについて「初めて知った」などの声も聞かれ、楽しんだ様子だった。
各社とも地域の持続的な成長に向けた各種の取り組みを推進する考えだ。