三重/産学官連携機関「みえ半導体ネットワーク」/岩手、大分県と連携/産業集積、高度化へ/高速道路網や四日市港物流ターミナルの整備推進
三重県の産業構造は北勢と中・南勢で大きく異なるのが特徴だ。北勢地域は主に自動車、半導体、石油化学関連など製造業が盛んで、中・南勢地域では主に観光業が栄える。多様な産業構造が地域経済を支えている。中部圏と関西圏の二大経済圏に重なる。高速道路などの道路網の整備が進んでおり、さらなる産業の発展が期待される。
■半導体産業振興
三重県は、半導体を中心とする電子・デバイス製品の出荷額が約1・9兆円(2021年)。18年連続で全国1位を誇り、日本の半導体産業をけん引する地域として存在感を高めている。
同産業のさらなる振興を目的に昨年設立された産学官連携機関「みえ半導体ネットワーク」(会長=一見勝之・三重県知事)。24年度の計画では、半導体産業の先進地域である岩手・大分両県の機関と連携し、半導体産業の集積、高度化を目指す。また、大学・高専生対象の工場見学やインターンシップを継続・強化するほか、小中高生向けに半導体産業への関心を高める啓発活動を展開する。
■企業誘致
県内は、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道、新名神高速道路などが通り、近隣の名古屋市に加え、関西や関東への交通アクセスが良好な環境にある。県北部の東海環状自動車道は、24年度にも大安インターチェンジ(IC)―北勢IC間が開通する見込み。26年度には北勢IC―養老IC間が完成し、全線開通する予定。中部、関西、北陸、関東など周辺地域との交通アクセスは一段と向上する。また、亀山市では将来的にリニア中央新幹線の駅が整備される方針。交通網の充実に合わせて今後期待されるのが企業誘致だ。
企業誘致の受け皿となる工業団地の開発も進む。県北部の桑名市では施工面積23・3ヘクタールの工業団地(2カ所)が造成され、このほか計約148ヘクタールの新規団地の開発が検討されている。
■四日市港の物流ターミナル整備
中部圏の物流を担う四日市港。石油コンビナートの化学製品や電子デバイス、輸送機器部品など日本のものづくり産業を長年支えてきた。
国土交通省と四日市港管理組合が整備を進めている「四日市港霞ヶ浦地区国際物流ターミナル整備事業」では、コンテナ船の大型化や増大する貨物量に対応するため、霞ヶ浦地区北ふ頭に耐震強化岸壁とふ頭用地などを整備。30年度の完成(26年度一部先行利用)を予定している。大規模災害時の物流機能を維持して安定供給を図るサプライチェーン(供給網)の強靱化を図る狙い。
■魅力ある観光
三重県は海と山の豊かな自然に恵まれ、そこで育まれた食や魅力的な歴史・文化もそろう。北勢地域は複合リゾート施設「ナガシマリゾート」やモータースポーツの「F1」などが開催される「鈴鹿サーキット」を有する。伊賀地域は海外人気の高い忍者について学べる「伊賀流忍者博物館」がある。南勢地域に目を向けると伊勢神宮はじめ、大型商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」など全国的に注目を集める観光スポットが豊富にある。
観光誘客の好機とされているのが「熊野古道」だ。熊野古道は今年で世界遺産登録20周年を迎える。20周年を記念した各種イベントなどが県内各地で行われ、7月にはスペインのバスク自治州から関係者などを招いた国際シンポジウムの開催を予定している。県によれば、熊野古道には推計29万人(22年)が訪れており、外国人観光客などを含めたさらなる来訪者数の増加が期待されている。