名港、大型船舶対応急ぐ/名二環開通で物流施設相次ぎ建設/物流のさらなる効率化めざす/運輸
名古屋港は総取扱貨物量、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額はともに日本一。物流のさらなる効率化を目指し、貨物の積み下ろしを行う岸壁の増深や耐震工事に取り組み、大型船舶への対応が進む。陸路でも開発が目立つ。昨年、全線開通した名古屋第二環状自動車道(名二環)により、名古屋港や飛島ふ頭(愛知県飛島村)へのアクセスが飛躍的に向上。電子商取引(EC)の需要増に応えるため、名二環付近で物流施設の建設が相次いでいる。
■取扱貨物量日本一
名古屋港管理組合が発表した2021年の名古屋港港湾統計(速報値)によると、総取扱貨物量は20年比5・5%増の1億7775万トン。コロナ禍でも経済活動が再開し、20年連続の日本一となる見通しだ。輸出では完成自動車、自動車部品などが増加し、輸入でも鉄鉱石、石炭などが前年実績を上回った。
一方、名古屋税関の名古屋港貿易概況(速報値)によると、貿易黒字額は7兆1957億円。全国港別(空港を含む)で、24年連続の日本一を堅持する。
■岸壁の整備進む
港湾物流のさらなる効率化を目指し、ふ頭再編事業が進む。完成自動車の輸出拠点である金城ふ頭(名古屋市港区)では、耐震強化や岸壁工事に取り組んでいる。モータープール(完成車の駐車場)を確保するため、岸壁背後に車両1万台に相当する16・3ヘクタールの土地を埋め立てる計画だ。自動車運搬船の大型化への対応も急ぐ。完成車の輸出増に応えるため、増深工事が進む。
飛島ふ頭では、R1・R2岸壁の増深(水深を12メートルから15メートル)や耐震化に取り組む。R1岸壁では、港湾運営会社である名古屋四日市国際港湾(本社名古屋市港区)が、大型ガントリークレーン2基を設置する。10月頃から供用を開始する。
■全国へアクセス
名古屋港は東名・名神高速道路をはじめ、中央・北陸・東海環状自動車道などを通じて、中部圏や東西圏へのアクセスが可能だ。伊勢湾岸自動車道は名古屋港内や周辺に、5つのインターチェンジを構える。東名高速道路、東名阪自動車道、名二環と接続されている。
一方、東名高速道路の第二の道路と期待される新東名高速道路の全線開通が遅れている。新秦野(神奈川県)~新御殿場(静岡県)における高松トンネルの工事が難航。23年度の全線開通が延期された。
■EC市場拡大
コロナ禍でEC市場が拡大し、物流施設の建設需要が高い。愛知県では、国内最大級の物流施設「ロジポート名古屋」が23年に建設される。4階建てのマルチテナント型物流施設で、延べ床面積は約35万平方メートル。東海エリア最大(21年12月時点)を誇る。建設場所は名古屋高速のインターチェンジから2・2キロメートルと、アクセスに優れる。
そのほか、22年中に完成を予定する「DPL名港弥富Ⅰ」(弥富市)、「ESR弥富木曽岬DC」(三重県)なども続く。名二環の開通で交通アクセスが向上し、物流施設の建築が相次いでいる。