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東海3県と11市「未来都市」選定/企業と市民団体の連携促進も/行政や企業の取り組み本格化/SDGs

昨秋、名古屋市中区錦で開催された「みちにわSDGsマルシェ」
昨秋、名古屋市中区錦で開催された「みちにわSDGsマルシェ」

中部圏では行政や企業が、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを本格化してきた。内閣府の「SDGs未来都市」には、愛知、岐阜、三重の3県に加えて11市が個別に選定され、それぞれSDGsの実現に向けて取り組んでいる。また企業も大手、中小の規模を問わず、各々に目標を定めて具体的な動きを見せている。

SDGsは、環境破壊や人権侵害のない世界を目指すために、国連が定める17項目の行動目標。2030年の目標達成を目指す。日本では内閣府が地方創生を狙いに、SDGs官民連携プラットフォームを設置。その中で自治体を対象にSDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業の選定を行っている。

SDGs未来都市には、東海3県内では豊田市と志摩市がいち早く、開始年度の18年に選定された。豊田市は「みんながつながる

ミライにつながるスマートシティ」を掲げ、市中心部の工業都市と山間部の共生を図る。志摩市は、主要産業である水産業の持続可能性を追求している。

翌19年には愛知県と名古屋市、豊橋市が選定された。

このうち名古屋市は、環境局が主宰し企業や大学、市民団体とともに運営する「なごや環境大学」を中心に、啓発活動に取り組む。

昨年11月には、中区錦の錦二丁目まちづくり協議会との共同で「錦2丁目SDGsウイークス」を開催。企業などのSDGsの取り組みを紹介するマルシェイベントや、セミナーを行った。期間内にはスターキャット・ケーブルネットワーク(本社名古屋市)が町内の映画館「伏見ミリオン座」を中心に、SDGs映画祭を行うなど広がりを見せた。今後は同協議会などが継続する方針だ。

なごや環境大学はこれとは別に、子どもにも分かりやすい「SDGsかるた」「SDGsすごろく」を製作し、企業研修用の貸し出しも行っている。

また同市は21年から、SDGs宣言をした企業向けに「なごやSDGsグリーンパートナーズ」の認定制度を開始した。従来のエコ事業所認定を発展させたもので、2500以上の事業所を認定している。

さらに同年5月には「SDGs推進プラットフォーム」を設置した。狙いは企業とNPO、または企業同士が連携してSDGsに取り組むきっかけづくりだ。専用ホームページでそれぞれの事例を紹介し、相互協力を促す。

プラットフォームには現在273の企業、団体、大学などが登録している。担当者は「もっと多くの中小企業に参加してもらい、自社の情報発信に役立てて欲しい」と話す。

メニコンは稲わら分解促進材の売り上げの一部をトキ保護に寄付している(右から田中英成社長、新潟県の担当者)
メニコンは稲わら分解促進材の売り上げの一部をトキ保護に寄付している(右から田中英成社長、新潟県の担当者)

■バイオ技術で

企業の取り組みも活発化している。その多くは製造・物流など事業の過程での無駄を排除して、環境コストをできる限り低減することだ。それは経営改善にもつながる。

また、これにとどまらず、SDGsをビジネスとして展開する例も増えてきた。

コンタクトレンズ大手のメニコン(本社名古屋市)は、20年ほど前に環境バイオ部を立ち上げ、環境保護に役立つ商品の開発、販売を手掛けている。

同部の主力商品「稲わら分解促進材 アグリ革命」は、コメ収穫後に肥料として田にまかれる稲わらの分解を早める酵素だ。レンズ洗浄液の研究の副産物として生まれた。

営業担当の高橋公治氏は「かつては、稲わらを燃やして処分する野焼きが一般的だったが、肥料にすれば低炭素化につながる」と話す。

稲わらを単純に田にまくだけでは、土壌の性質によっては翌年春まで分解されずに残り、新しい稲の成長を阻害する。分解時には有害なメタンも発生する。アグリ革命を使うと「春までにしっかりと分解され、メタン発生も抑えられる」といい、隠れたヒット商品になっている。

その売り上げの一部は、新潟県と同県佐渡市のトキ保護活動に寄付している。10年目の昨年には、同県から感謝状が贈られた。

本業では「レンズはプラスチック製品なので、生産工程で出る不使用素材をパッケージの材料にするなど、使用量削減に取り組んでいる」(渉外広報部)という。

また、社員が働きやすい職場環境づくりや地域貢献、日本クラブユースサッカー東西対抗戦「メニコンカップ」への特別協賛もSDGs活動の一環だ。

「中小企業は連携でSDGs事業を」と話す若鯱家の高橋副社長
「中小企業は連携でSDGs事業を」と話す若鯱家の高橋副社長

■中小企業の連携

「複数の中小企業がお互いの強みを持ち寄れば、SDGsをビジネス化できる」と話すのは、カレーうどんチェーンの若鯱家(同)の高橋雅大副社長だ。

同社はえびせんべいの桂新堂(同)と「サスティナブルえびせんべい カレー味」を共同開発し、昨年6月から桂新堂の大丸松坂屋内ショップで販売している。

きっかけは、高橋氏と桂新堂の光田侑司専務が、ともに名古屋青年会議所(JC)会員だったことだ。高橋氏は現理事長、光田氏は先々代の理事長だ。

JCでのつながりを生かし、共同ビジネスに挑戦した。両社が産業廃棄物として捨てていた、製麺後の端切れと、アマエビの頭、殻を材料に、コラボレーション商品を開発した。

さらに、地域貢献と人材育成のため、同JCと協力関係にある名古屋国際中学・高校の「SDGs未来クラブ Sus―Teen!(サスティーン)」に、パッケージデザインを依頼。包装の原料に間伐材を利用するなどのアイデアを得た。

高橋氏は「社内にはごみだったものを商品にする抵抗感があり、その意識改革が最初の壁だった。私が講師になって社内セミナーも行った」と振り返る。

商品開発にも苦心した。塩分がある麺を普通の製法でえびせんべいにすると塩辛すぎるなど、試行錯誤を繰り返し、「構想から2年がかりで完成した」という。特にこだわったのは、味のよさと、利益が出せる商品であることだ。

高橋氏は「中小・零細企業が単独でSDGsを事業化するのは難しい。だが、複数のパートナーが協力すれば実現できるし、実利も得られる」と強調する。

同商品の収益の1%は、両社の折半で、なごや環境大学に寄付している。

若鯱家は3月、店舗メニューにもSDGs商品を加えた。「これも複数の企業との連携で開発した」という。

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