「1千億円」超え13ヵ月連続/高水準、堅調な受注続く/幅広い業種で広がる設備投資/工作機械
工作機械業界は、堅調な受注が続いている。日本工作機械工業会(日工会)が3月23日に発表した2月の受注総額(確報)は、前年同月比31・6%増の1390億円と16カ月連続で前年を上回った。業界の好不況を判断する目安とされる「1千億円」を超えたのは、13カ月連続。増産が続く半導体関連を中心に、幅広い業種で設備投資が広がっている。
■内需が増加
2月の受注総額のうち、内需は前年同月比60・4%増の488億6千万円、前月比は10・6%増加した。半導体製造装置関連向けに活発な商談が続いているほか、電気機械も伸びた。
外需は、前年同月比20・0%増の901億4千万円、前月比は8・7%減少した。2月は例年、中国の春節の影響を受ける。ことしは前月の大型受注の反動減もあったが、2カ月連続で900億円を超え、高水準を維持した。
ただ、足元ではロシアのウクライナ侵攻をめぐって世界的に不安定な経済情勢が続く。日工会は「今後、部材不足や原油高による部材・輸送費の高騰、地政学的リスクなどが国内外の受注に与える影響を注視する」とコメントしている。
■自動化・脱炭素化
一方、中部の工作機械メーカー各社は、自動化や脱炭素化をキーワードに高まる需要を取り込もうと提案を進める。昨秋、名古屋市内で行われた工作機械業界の大規模展示会「メカトロテックジャパン(MECT)2021」には、426社・団体が出展。4日間で、合計約6万9千人が来場した。
自動車業界向けの旋盤が主力のFUJI(本社知立市)は、米国で先行発売したばかりのロボット付きの複合加工機「GYROFLEX(ジャイロフレックス)」を国内初披露。「(1台でさまざまな加工ができる)工程集約を打ち出し、新たな市場も開拓したい」(担当者)と意気込んだ。
今後は、さまざまな商社と組み、拡販を目指す。自動車業界のEV(電気自動車)化にも対応し、ラインアップを増やしていく方針だ。
オークマ(本社愛知県大口町)は、製品展示のほかにも工場の脱炭素化を支援する工作機械の知能化技術をパネルで紹介。熱変位をコントロールして精度維持と省エネを両立する「サーモフレンドリーコンセプト」や、周辺装置を必要な時だけ動かす「アイドルストップ」、電源の回生機能などをPRした。省エネ機能を強化した工作機械、サービスを提供し、製造業の脱炭素化への取り組みを後押しする。
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)など新技術の活用で、生産革新が進む製造業。工作機械メーカー各社は、工作機械の高度化を通して、製造業の生産革新を支えていく。