関連企業の脆弱性狙う／サプライチェーン攻撃／セキュリティ／増加するサイバー攻撃

国内企業に対するサイバー攻撃が増えている。この中部圏でも被害を受けて設備の一時停止などの影響が出たことなどが報じられた。サイバー空間が新たな戦場と位置づけられる時代、こうした攻撃はますます増加するとみられる。改めて企業の対策が急がれる。

■企業の連携

いまやサプライチェーンを抜きにして経済は回らないと言っても過言ではない。多くの企業が連携して製品やサービスを作る時代。一方で企業のＩＴ化も進み、多くの企業が情報という見えない線でもつながっている。多様な企業が関係することから、攻撃側にとっては狙える攻撃ポイントも多いといえる。サプライチェーンを構成する企業を攻撃することで目標とする企業の活動を阻害する。これがサプライチェーン攻撃といわれる手法だ。従来からこうした攻撃は報告され、対策も進んでいるにもかかわらず被害が出るということは、いかに攻撃を防ぐことが困難かということを示している。

■ランサムウエア

攻撃にランサムウエアが使用されるケースも増えている。身代金を意味する「ｒａｎｓｏｍ」から分かるように身代金を要求するマルウエア（悪意あるソフトウエア）。ランサムウエアに感染すると、感染先のパソコンのデータを暗号化して利用できなくなる。これを元に戻して欲しければ金を払え、となる。要求に従うと暗号化されたファイルを元に戻すための手段が提供されるという流れだが、保証の限りではない。また最近は暗号化だけでなく、身代金を支払わないと被害者のデータを公開すると脅す、「暴露型」も増えてきた。暗号化だけであれば、定期的なバックアップで被害を緩和できる可能性もあるが、情報の公開に対しては有効な手立てがない。

■被害の最小化

もちろん社内のＩＴ機器やアプリケーションを最新版にするなどハード面の対策や、電子メールによる外部とのデータのやりとりに細心の注意を払うなど社員教育、社内体制の見直しや構築は必要だ。それでも攻撃を完全に防ぐことは困難という前提にたち、どのように被害を最小化するか、そして業務の復旧を最優先に考えることが重要になるだろう。

■企業や自治体への対策を一層強化／総務省東海総合通信局

年々増大するサイバーセキュリティ上の脅威への対策について、政府全体は元より地域単位で生活や産業を支える社会基盤のサイバーセキュリティ対策を産官学で協業しながら行うことが求められています。

東海総合通信局では、地域のサイバーセキュリティ対策の質を向上させるため、中部経済産業局と共同で、「東海サイバーセキュリティ連絡会」を開催しています。同連絡会には東海４県（岐阜、静岡、愛知、三重）の行政機関や研究機関のほか多様な分野の事業者の方々に参加していただいており、サイバー攻撃とその対処事例の共有や中小企業のサイバーセキュリティ対策の課題について議論を行っております。

また、中小企業に向けて人材育成に関する内容を中心としたサイバーセキュリティセミナーの実施や、実際にサイバー攻撃があった際の対処方法を学んでいただくインシデント演習を行っております。本インシデント演習はＣＹＤＥＲという名称で情報通信研究機構と協力して実施しており、各県で複数回実施しています。

最近でも管内の企業を標的としたサイバー攻撃が散見されます。大企業を回避して、その関連企業を攻撃の標的とする事案も増えており、どのような企業においてもサイバーセキュリティ対策は必須の課題となっております。

今後も演習事業やセミナーなどを通じて、中小規模の企業や地方公共団体を含めた多くの関係者に対して、サイバーセキュリティ対策を一層強化してまいります。