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新型コロナ禍で高まるBCPの重要性

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目的や基本姿勢、社員巻き込み形に

新型コロナウイルスの感染拡大が企業活動に大きな影響を与えている。リスクが発生した時に企業はどう対応すべきか。その対応方法を事前にとりまとめた「BCP(事業継続計画)」の必要性が一段と高まっている。リスクマネジメント事業を手掛けるウインマネジメント(本社春日井市)の谷内量社長は「BCP OFFICE NAGOYA」を立ち上げ、名古屋市のBCP策定支援事業の専門家(コンサルタント)として活躍している。谷内氏にBCP策定の意義などを聞いた。
(聞き手は中部経済新聞経済部長大蔵敦生)

血の通ったBCPで中小企業の力になりたい

ウインマネジメント社長
BCP OFFICE NAGOYA コンサルタント
谷内 量(たにうち・りょう)氏
BCPに取り組み始めたきっかけを教えてください。

「損害保険会社の直販社員として営業していた時に、東日本大震災が発生しました。それまでは保険会社の理念でお客さまに『安心』を届けると言って企業を対象に安全やリスクマネジメントについて説明し、保険の営業を行っていました。ただ、震災後、契約者から『個人の地震保険は知っているが、企業向けはないのか』という問い合わせをいただいたが、当時、私が取り扱える地震保険はなく、『ありません』と答えるしかなかったのです。私は『安心』の定義を『不安に思っていることに対して手立てがとられている状態』と考えています。契約者が『地震が不安だ』と言っているのに売る保険がないという事態に直面した時、私は今まで『安心』を届けてきたのではなく保険を売ってきたのだと気付いたのです」

「当時はまだBCPという言葉が一般的ではありませんでしたが、リスクマネジメントについて勉強していたので、売る保険はないが、リスクマネジメントの一環として企業が事前に対策を講じることで被害を抑えることができるのではないか。そんな思いから、企業と一緒に考えるようにしていました。その後、保険会社は分厚いBCP策定マニュアルを作成しましたが、大企業向けで中小企業には意味を持たないものでした。私は中小企業に必要とされる仕事がしたいと考え、保険会社を辞め、リスクマネジメント会社のウインマネジメントを立ち上げたのです」

「起業したばかりのころにBCPに取り組んでいる中小企業診断士の細谷宏先生と出会い、細谷先生の『血の通った生きたBCPを作り、中小企業の力になりたい』という考えに共感し、一緒にBCPセミナーを開催し、BCP勉強会を立ち上げました。そうした活動が基盤となり、BCP OFFICE NAGOYAの設立につながっていきます」

BCP策定において重要なことはなんでしょう。

「重要なことは目的や基本姿勢を社員全員で考えて生み出すことです。社内でBCP策定委員会などのプロジェクトチームを作り、何のためにBCPを策定するのか、BCPで何を優先するのかを社員を巻き込んで作成していくことが重要です。例えば、全社員向けアンケートや部署単位でリスク調査などを分担してやってもらう。私はBCPのひな型を提示して進めるのではなく、策定の仕方や考え方をアドバイスして社員の中から気づきを発見し、自分たちでマニュアルを作っていくことが大切だと思っています」

「そして、継続して取り組める意識改革と仕組みづくりが求められます。定期的に安否確認・避難訓練を実施することで、災害時の行動を社員に浸透させることができます。また、安否確認訓練ではメールを送信できた人数、返信がなかった人数などを確認することで、会社の連絡網の管理や社員の意識、管理職の教育方法などの問題点も見えてきます」

中小企業でBCPの取り組みがうまくいった成功事例はありますか。

「例えば、社員10人規模の防水工事を手掛ける中小企業は3年前に地震からはじまり、豪雨や新型インフルエンザなどの感染症対策に取り組んでいます。今回の新型コロナウイルスの場合でも中国・武漢で発生し、問題となり始めた3月ごろから、BCPを発動したといいます。マスクやトイレットペーパーなど備蓄品を確認し、早い段階から交代勤務を導入しました。これはマニュアルができていることに加え、社員全員がBCPの意義を認識しているからこそだと思います」

「ある企業はコロナ対策として、例えば会社でコロナ患者が出た時、最悪の場合は事務所が1週間使えなくなる。その時どう対応するか。具体的な被害想定をすることで対応することができたと言います。これは日ごろから訓練を実施しているからこそできることです。また、訓練を通じて、例えば社員からシステムサーバーの問題はどうするのかなどボトムアップ的に問題点が指摘される。これは経営基盤の脆弱性を洗い出していることでもあり、会社全体として力がついていることを意味します」

策定は社長の気持ち次第
事業継続へ地域連携の視点も

BCPセミナーの様子
BCPに不可欠な要素は何でしょう。

「BCPを策定している中小企業はまだ少ないのではないか。BCPの策定は社長の気持ち次第です。大企業がやることで中小企業には関係ないと思っていてはうまくいきません。経営者の意識改革が不可欠だと思います。また、BCPを難しく考えるのではなく、A3用紙1枚でまとめてみることから始めても十分です。それを会社の壁に貼っておく」

これからのどんな活動をしていきますか。

「書類だけのBCP策定は基本的にはやらない。自治体によって補助金などがあり、ビジネスとしては儲かるかもしれないが、それはBCP書類作成であり、実際に機能しないのであればBCP策定ではありません。また、BCPの在り方も今後変化していくと思います。事業を継続するため、地域を越えた協力体制の構築など地域連携という視点も重要になってきます。あと、自治体の活動と地域の企業との連携も必要になってくると思います」

「今後も基本的な考え方は変わりません。私は事業の拡大を目的とはしていません。社会の役に立つ取り組みをしていたら必然的に仕事が多くなると思っています。『血の通った生きたBCPを作り、中小企業の力になりたい』そして『備えは心から』を合言葉に、もっともっと勉強して経験して一生懸命取り組んでお客さまから『ありがとう』と言っていただけたらうれしいですね」

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2024年10月11日(金)
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