「インフレと適正な賃上げの循環必要」 名商の嶋尾会頭、定例会見で強調
名古屋商工会議所の嶋尾正会頭(大同特殊鋼相談役)は29日の定例記者会見で、「(日本経済が)踊り場から次のステージへジャンプできるかは、緩やかなインフレと適正な賃上げが循環していく必要がある」と話し、2024年の春季労使交渉の重要性を強調した。
内閣官房と公正取引委員会は同日、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表した。必要に応じ、労務費上昇分を価格転嫁する考えなどを示している。
嶋尾会頭は「原材料費やエネルギーコスト(の上昇分)に加え、労務費の上昇分についても取引価格に反映される道筋をつけていきたいという要望は、日本商工会議所が強く要望してきた。今後の賃上げに対する後押しになるのでは」と述べた。
所得税や住民税の定額減税を盛り込んだ政府の経済対策については、「『ビヨンドコロナ』の状況になった今、過度な財政出動は必要ないのでは」と指摘。「取引価格の適正化が進んでいない中小、小規模事業者の実態が明らかになりつつある。政府には予算措置を含めた支援をしっかりとお願いしたい」と求めた。
リニア中央新幹線静岡工区のトンネル掘削工事に伴う県外への湧水流出が懸念されている問題に関する発言もあった。静岡県の川勝平太知事が28日、JR東海の対策案を容認する考えを示した点について、嶋尾会頭は「石が動いたかもしれない、と期待はしているが、いろいろな地域で工事は着々と進展している。なるべく早く、静岡工区の着工を現実のものとしていただきたい」と期待を込めた。
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