中部の夏商戦総点検 人流回復でにぎわい戻る 扇風機や水着など好調 人手不足の課題は露呈
外出機会が増加
カー用品店「ジェームス」を全国展開するトヨタモビリティパーツ(本社名古屋市)によれば、全96店舗(8月末時点)の7~8月の売上高は、前年同期比8%増。新車供給の回復で用品需要が高まった。ジェームス営業部の深津秀幸氏は「コロナ禍が明けて遠出する機会が増えたことで、オイル交換などの要望も増えた」と話す。
「ジェームス名古屋西店」(名古屋市西区)ではファミリー層などが車で出かける機会が増える中、猛暑対策としてサンシェード(日よけ)や小型の扇風機などの販売が伸びた。「クーラーの効きを確かめるため、お盆の直前に点検に来る人が多かった」(竹村直純店長)と振り返る。
名古屋マリオットアソシアホテル(名古屋市中村区)は8月の平均客室稼働率が76%と前年同月比8・1ポイント増。コロナ前の2019年比約9割まで戻った。タイ料理を提供する「アジアンエスニックブッフェ」が好調で、通常は大人料金の中学生を小学生料金に設定するなどし、家族連れを中心に支持を得た。
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市中区)では多人数で利用できる客室「ファミリークワッド」が好調で、1泊4万5千円と高単価の利用が拡大した。8月の平均客室稼働率は79・6%と前年並みだが、「宿泊単価を高めたことでホテル全体の売り上げも拡大している」(矢澤宏幸セールス&マーケティング部長)という。
猛暑で明暗
「電気代高騰の影響もあり、省エネ性能の高いエアコンや洗濯機が好調だった」と話すのは、家電量販店のエディオン(本社大阪府)の広報担当者。7~8月のグループ全店売上高が前年同期を上回った。猛暑の影響でエアコンの売り上げが前年同期比40%増と伸長。エディオン名古屋本店(名古屋市中村区)でも7月はエアコンの売り上げが50%増えたという。
スポーツ用品のアルペン(本社名古屋市)では、7~8月、海水浴やプール向け用品の売り上げが10~20%伸びた。猛暑日が続いたことや、コロナの行動制限緩和で海などでのレジャー需要が高まり、水着や浮き輪、シュノーケルやマリンシューズが好調だった。
スーパーのバロー(本社多治見市)も7~8月、冷たい飲料やアイスなどの販売が前年同期を10%上回った。各地で花火大会や祭りなどのイベントが復活し、飲料やアイス、アルコール類の需要が前年より高まった。
多彩なアトラクションやプールを楽しめる複合型リゾート「ラグーナテンボス」(蒲郡市)は8月の来場者数が34万2300人と前年比5・7%増えた。「コロナ5類移行による行動制限の緩和や外出意欲の向上などが要因」(企画部)という。9月もプールの営業や人気アニメコラボイベントを継続し、さらなる集客増に期待を寄せる。
遊園地の「パルケエスパーニャ」や宿泊施設などを運営している志摩スペイン村(本社志摩市)は、7~8月の来場者数が前年割れとなる見通し。連日の記録的な猛暑で日中の集客が伸び悩んだほか、お盆時期の台風直撃に伴い臨時で1日間休園したことが響いた。営業企画部の広報担当者は「新型コロナ禍の経済対策で昨年あった県独自の旅行支援策の反動もみられた」と分析している。
アプリ活用
木曽路(本社名古屋市)は個人、法人ともに利用が伸び、7月の既存店売上高はコロナ禍前(19年)比で14%増。8月は6%増と好調だ。来店客数の急増で人手不足対策が急務となっており、アルバイトマッチングアプリ「タイミー」を活用している。広報担当者は「空き時間を活用して配膳や皿洗いなど裏方作業を担ってもらっている。従業員は接客・調理に注力することができる」と効果を説明する。
物語コーポレーション(本社豊橋市)は7月の既存店売上高が10・4%増加し、8月も好調が続いた。夏の集客策として、ラーメン店「丸源ラーメン」で小学生以下を対象に来店回数に応じてソフトクリームなどがサービスされるイベント「お子さまシールラリー」を実施しており、広報担当者は「今年は前年に比べて、カードの回収率が高い。お子さま連れでの利用頻度が高かったのでは」と推測する。
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