SDGs特集
事業創出の”カギ”に
SDGs(持続可能な開発目標)は、世界中の多くの人が解決策を求めているテーマである。言い換えれば、未来社会ニーズの集約。社会課題を事業創出に転換するヒントが提示されているのだ。持続可能な企業になるためには、今から2030年を見据え、何にシフトしなければならないかを考える必要がある。経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得するツールとして、SDGsの活用が注目を集めている。
資金調達が有利に働く可能性がある
従来の財務情報だけでなく環境・社会・企業統治といった非財務情報を考慮したESG投資が重視され拡大しており、世界のESGマネーは3千兆円にのぼる。(図1)投資家にとって、SDGsの達成につながる事業や経営を進めることが、持続的に成長できる企業かどうかを測る基準となっているため、資金調達の観点からも有利に働くと考えられる。
企業イメージ向上・優秀な人材確保に役立つ/ビジネスチャンスの可能性
世界共通の目標であるSDGsに取り組まない企業は、取り組むべき課題に無関心、社会的責任を果たす気がないとみなされる可能性は高く、従業員や消費者、投資者の企業イメージに大きな影響を及ぼす。2020年からは学校教育で「持続可能な社会の創り手」の育成が指導要領に盛り込まれており、SDGsネーティブの若年層の比重は今後ますます高まる。少子化による働き手不足の今、先進的な思想や感性が発揮できる企業であるかどうかは、競争力の源泉である優秀な人材確保の鍵となるだろう。
ビジネスチャンスの可能性
17年のダボス会議において、「SDGsに関連する市場が12兆ドル、創出される雇用の規模が3億8千万人」との推計が出されたことを機に、さまざまな企業がSDGsに注目し、新たなビジネス展開を模索し始めた。SDGsには国、自治体、NGOやNPO、教育機関、研究機関など多種多様な組織が参加しているため、自社のリソースだけに目を向けるのではなく、幅広い連携を模索していくことで、ビジネスの拡大や新たなビジネスチャンスの獲得につながる。