多彩なメニューで課題解決支援／静岡県の支援強化へ中部本部に管轄変更

中小企業を取り巻く経営環境は大きく変化している。デジタル化や脱炭素化、事業承継など、対処すべき経営課題は幅広い。中小企業基盤整備機構では、さまざまな支援メニューを用意し、中小企業の課題解決を支援している。

■静岡県管轄

中小機構は、静岡県の支援機能を強化するため、２０２３年４月１日から、同県の管轄を関東本部から中部本部に変更した。これに併せて、浜松市にある同機構所有施設の「浜松イノベーションキューブ（ＨＩ―Ｃｕｂｅ）」内執務スペースに「静岡エリアマネージャー」を配置した。今後、中部本部において、静岡県の中小企業、支援機関、金融機関などとの関係を横断的に強化し、従来よりも手厚い支援の実現を目指す。

これに先立ち、３月15日には、浜松市と「業務連携・協力に関する覚書」を締結した。静岡大学などの大学や支援機関、金融機関などとの連携を強化し、地域の大学発ベンチャーの発掘に協力して取り組み、同機構がもつスタートアップ支援施策へ誘導するなど、支援を強化する方針だ。

また、３月17日には、静岡県信用保証協会と「中小企業の発展支援等にかかる業務連携・協力に関する覚書」を締結し、静岡県内で協力して取り組んできた中小企業大学校瀬戸校のサテライト・ゼミを継続実施するほか、事業承継支援をはじめとした地域中小企業への支援も連携して行っていく。

■スタートアップ支援

中小機構では、全国に展開するインキュベーション施設に、スタートアップ支援を専門とするアドバイザーを配置して機能強化を図っている。また、新たにグローバルマーケットを目指すスタートアップに投資する海外ベンチャーファンドへの出資を加え、ベンチャーファンドへの出資を強化する。

さらに、創業５年以内の有望な技術・シーズを保有するスタートアップを選定し、成長加速化・資金調達を促進する。専門家が事業者の成長戦略・経営課題に応じて、伴走支援型のコンサルテーションをベースに各種コーディネート支援を行いながら、戦略の立案や事業計画などのブラッシュアップを実施するアクセラレーション事業「ＦＡＳＴＡＲ」や、事業計画が認定されたスタートアップが民間金融機関から行う借入に対して債務を保証する「ベンチャーデット保証制度」を活用する。

■円安をチャンスに

中小機構は、円安をチャンスとして取り組む中小企業を支援する「新規輸出１万者支援プログラム」に乗り出した。経済産業省、中小企業庁、ジェトロ（日本貿易振興機構）と一体となり、全国の商工会・商工会議所などとも協力する。

具体的な取り組みは、①新たに輸出に挑戦する事業者の掘り起こし②専門家による事前の輸出相談③輸出用の商品開発や売り込みにかかる費用への補助④輸出商社とのマッチングやＥＣ（電子商取引）サイト出展への支援などだ。

また、中小企業と海外企業をつなぐビジネスマッチングサイト「Ｊ―ＧｏｏｄＴｅｃｈ（ジェグテック）」の運営や、信頼のおける海外ローカルパートナー企業との出会いの場を提供する「海外ＣＥＯ商談会」の開催など、中小機構が持つ輸出に向けた様々な施策を提供し、輸出実現に向けた取り組みを支援していく。