CNへ取り組み強化/トヨタグループ各社
トヨタグループ各社は、温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル、CN)実現に向けた取り組みを加速している。工場での水素活用の推進を目指す実証実験や、仕入れ先と一体となった二酸化炭素(CO2)低減活動、生産設備の更新などさまざまな活動を通じて脱炭素社会の実現を目指す。
■水素活用推進
デンソーは福島県田村市のデンソーの工場に、トヨタ自動車が新たに開発した水素を製造する水電解装置を導入した。水素の活用で工場のCO2排出量を削減し、脱炭素社会の実現を目指す。
車のエアコン関連製品などを手がけるデンソー福島の工場に導入した。実証実験を3月から順次実施し、2025年度内に完了予定。
電気分解の際は、太陽光や風力など工場でつくった再生可能エネルギー由来の電力を中心に使用。製造した水素は、工場から排出されるガスを無害化する炉の熱エネルギーとして使う。
アイシンは、自社製品の生産時に排出されるCO2を省エネ活動の推進や再生可能エネルギーの導入などでオフセットするシステムについて、第三者による検証を受けて妥当性評価を取得した。
同社は昨年から、生産CO2フリー製品プロジェクトを開始。製造にかかるCO2排出量算定から、オフセットまでの一連の仕組みをシステム化している。システムの妥当性の確認では、トヨタの電気自動車(EV)に搭載されている駆動装置などを対象に実施。第三者評価機関であるSGSジャパン(本社神奈川県)から国際認証に基づいた妥当性評価を取得した。
愛知製鋼は、知多工場(東海市)でステンレス鋼用の電気炉を更新し、稼働したと発表した。投資額は約10億円。26年度までにステンレス鋼の供給能力を現在に比べ4割増の年9万トンに増強する計画を進めており、その一環になる。
新しい電気炉は、生産性や品質を向上させているのが特長だ。炉内の容積を拡大し、材料のステンレススクラップと合金鉄がより最適な配分で入るようにした。さらに遠隔操作を可能にして、人手による作業の負担を大幅に減らした。
■仕入れ先と一体で
トヨタ紡織は、仕入れ先のCN実現に向けた支援に注力している。同社協力会とともに「Sunshine脱炭素スクール」を立ち上げ、会員企業に対し脱炭素化への取り組みを紹介している。
同スクールでは、省エネ手法やCO2削減計画の策定方法などについて伝えている。会員企業の目標設定や計画づくりを支援するとともに、長くCNに取り組める人材育成もサポートしている。
豊田合成は、仕入れ先全体で年3%のCO2排出量の削減を目標としている。まずは空気漏れの改善や配管の配置適正化といった省エネ活動を中心に取り組んでいる。
ジェイテクトはEVの最重要部品でモーターと減速機で構成する「イーアクスル」向けの製品群を拡充している。昨年9月に開発したデファレンシャルギア(デフ)は、強度を保ちながら容積を半分以下に小さくした。
また軸受け部品では昨年10月、超幅狭軸受け「JTEKT Ultra Compact Bearing(ジェイテクトウルトラコンパクトベアリング)」を発表。従来品と比べて、強度や耐久性は維持したまま、軸方向寸法は約30%減、重量は約26%低減している。11月には、導電機能を持たせたモーター用軸受け「JTEKT Ultra Earth Bearing(ジェイテクトウルトラアースベアリング」を開発した。新開発の導電部材を軸受けに内蔵することで、従来装備していた導電部材や絶縁体より安価かつ小型化を実現した。