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液体水素でレース挑戦/トヨタ、「スーパー耐久シリーズ」

トヨタ自動車が、自動車レース「スーパー耐久シリーズ」に、水素エンジン車で参戦してから、3年目に入った。今シーズンは、第2戦となる、富士スピードウェイ(静岡県小山町)から、水素エンジン車両で参戦する。これまでは圧縮した気体水素を積み、レースを走ってきたが、今回からは、液体水素の搭載に挑戦する。気体水素よりも航続距離伸長が期待できる。カーボンニュートラル(CN)に向けた新たな選択肢としてブラッシュアップする。

昨年、富士スピードウェイで液体水素のタンクの構造を公開した
昨年、富士スピードウェイで液体水素のタンクの構造を公開した

■液体から気体

水素エンジン車は、これまでと同様のエンジンを搭載する。一方で水素をためるタンク、水素を液体から気体にしてエンジンに供給する機構などを新たに開発し、レースに挑む。

液体水素を使用する最大のメリットは、気体水素に比べて積載量が大きく増えることだ。燃料の積載量が増えれば、そのまま航続距離の伸長につながる。燃料電池車「MIRAI(ミライ)」に搭載されている圧縮水素タンクと比べて、積載量が同容量で1・7倍に増える。富士スピードウェイでの参加時には、2倍まで航続距離を伸ばしたい考えだ。

また、車両への水素の供給でも利点がある。液体水素を使用することにより、気体を圧縮する圧縮機が必要なくなるほか、冷却器も不要だという。レース場では、水素の供給に必要な設備の面積が、4分の1までコンパクト化できる。

ただ、課題も多い。液化水素はマイナス253度と極めて低い温度を保つ必要がある。タンクのほか、配管や水素充〓(塡)時にも高い断熱性が必須となる。またマイナス253度の過酷な環境でも機能する燃料ポンプの技術も必要となる。それぞれのノウハウを持った企業と連携しながら、課題解決を進めていく。

佐藤社長(左)らが今シーズンのレースへの意気込みを語った
佐藤社長(左)らが今シーズンのレースへの意気込みを語った

■8から39

ともにCNを目指す企業や自治体も、初参戦時の8から39まで増加している。今回からは新たに自動車部品メーカーが仲間の輪に入り始めた。液体水素を用いるため、液体水素用のタンクや配管、液体を気体にする機構などの開発で多くの部品メーカーのノウハウが生きるからだ。アイシンは制御バルブ、愛知製鋼は金属材料、三五(本社名古屋市)はマフラーの開発をそれぞれトヨタと進めている。

トヨタの水素エンジンプロジェクト統括の伊東直昭主査は「昨年、液体水素への挑戦を公表したところ、『こんな技術がある』と自ら手を挙げてくれた企業もあった。サプライヤーとともにCNを目指す」と語る。

3月18日、スーパー耐久初戦が開催された鈴鹿サーキット(鈴鹿市)で、佐藤恒治次期社長(当時)らが会見した。佐藤氏は「液体水素を用いる車両でのレース参戦は、世界初の取り組み。車両の技術も大切だが、全体のエネルギーのサプライチェーン(供給網)を考えることも重要だ。特に『つくる・はこぶ』分野では、川崎重工業や岩谷産業と強いパートナーシップがある。連携を強固にしながら、ともに挑戦していきたい」と意気込んでいる。

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