ラリーで地域振興/11月に豊田市主催でWRC
中部地方で、ラリーを通じた地域振興が進んでいる。今年3月には新城市で「新城ラリー」が開催され、4年ぶりに観客を受け入れた。また昨年に続いて今年11月には豊田市主催で、公道で行われる自動車レースの世界最高峰「世界ラリー選手権(WRC)」のラリー・ジャパンが開催される。トヨタ自動車もラリー競技の盛り上げに一役買っている。将来的に中部でラリーファンの裾野やラリー文化を広めていきたい考えだ。
■ラリーファン
全日本ラリー選手権の第2戦である「新城ラリー2023」が、3月に新城総合公園(新城市)で開催された。観客を受け入れたのは4年ぶりだ。会場は、家族連れなどのラリーファンでにぎわった。多くのファンがラリーの魅力を改めて感じる機会になったようだ。
新城ラリーには、トヨタ自動車の豊田章男会長(当時社長)も会場に駆け付けて、トークショーなどを行い、会場を盛り上げた。トークショーで、豊田会長は「モータースポーツは五感で楽しめるのが魅力だ。昨年に続き、今年も開催予定のWRCの雰囲気も味わってほしい。多くの方にぜひWRCを応援してほしい」と呼びかけた。
また、WRCに参戦している勝田貴元選手は「未来をつくる子どもたちに、クルマの楽しさを感じてほしい」と強調。ヤリマティ・ラトバラ氏は「ラリーは、運転の訓練を通じて交通安全につなげることができる。多くのことを学べるモータースポーツだ」とラリーの魅力を話した。
新城ラリーの会場では勝田選手とラトバラ氏がデモ走行を行い、迫力ある運転テクニックを披露した。さらに、豊田会長もコドライバーとして助手席に乗り込み、多くのファンを沸かせていた。
■熱気再び
昨年11月に、WRCのラリー・ジャパンが豊田市などで開催された。日本でのWRC開催は、札幌市などで行われた2010年以来、実に12年ぶりになった。日本人ドライバーの勝田選手らがファンに勇姿を披露した。愛知、岐阜2県の6市町を舞台に実施され、熱戦が展開された。
当初は20年に開催が予定されていたが、新型コロナの影響で、2年連続で中止となっていた。多くのファンが待ちわびていた分も含めて盛り上がりを見せた。
今年もWRCの熱気を味わえる。
今年11月にも、豊田市が主催してWRCが開催される。自治体主催でWRCが開催されるのは全国で初めてになる。WRCを地域振興につなげたい考えだ。
WRCの競技の一部は、豊田市中心部に近い「豊田スタジアム」で実施する方針だ。ピッチの天然芝をはがして、アスファルトで舗装する。
愛知県で昨年開催された大会は、交通規制された山間地の林道などを使った。しかし、アクセスが悪く、十分な観客席も確保できない課題が残った。昨年の反省を踏まえて、スタジアムで実施してより多くのラリーファンが楽しめるようにするという。