工作機械/中国の景気減速などで受注総額8ヵ月連続減少/受注は調整局面続く/「メカトロテックジャパン」に期待高まる
景気の先行指標とされる工作機械受注で、調整局面が続いている。日本工作機械工業会(日工会)が発表した8月の工作機械受注実績(確報値)は、受注総額が前年同月比17・6%減の1147億6千万円と、8カ月連続で減少した。中国の景気減速や先行きの不透明感などから設備投資の手控え、様子見が広がっている。10月には名古屋市内で大規模な工作機械見本市が開かれる。受注の喚起につながるか、活発な商談に期待が寄せられている。
日工会がまとめた今年上期(1~6月)の受注総額は、前年同期比15・7%減の7684億4千万円と、3年ぶりに減少に転じた。上期の8千億円割れは2年ぶり。コロナ禍からの立ち上がりをけん引してきた中国で市況が悪化したほか、金利上昇で設備投資が鈍った米国や、半導体製造装置関連の減速が響いた日本国内も落ちた。
■中国が急減
過去2番目の高水準となった2022年から一転、工作機械受注は調整局面にある。1~6月の内訳をみると、内需が前年同期比19・9%減の2520億8千万円。自動車向けは28・7%減、半導体製造装置関連など電気・精密向けは33・9%減と落ちた。外需は5163億5千万円と13・5%減少。うち中国が22・5%減と、減速が目立った。米国を含む北米は13・4%減。欧州は、根強い需要で1・0%増だった。
ただ、日工会が年初に発表した23年の年間受注予測は、1兆6千億円。22年からは9・1%減るが、過去10年間の平均である1兆4251億円と比べればなお高い水準だ。予測に対する1~6月の進捗(しんちょく)率は48・0%だった。
一方、直近の8月の受注実績は、前月比では、0・4%増と2カ月ぶりに増加した。内需は前年同月比31・0%減の357億2千万円で、前月比でも9・3%減少と厳しさが続いているものの、外需は、前年同月比9・7%減の790億4千万円、前月比では5・5%増と5カ月ぶりに増加に転じた。調整局面が続く中で、日工会は「今後の持ち直しの時期などについて内外経済動向を注視する」としている。
■活発な商談に期待
受注の持ち直しのきっかけのひとつとして期待されているのが、10月18日から21日までの4日間、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催される工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2023」(ニュースダイジェスト社主催、愛知県機械工具商業協同組合が共催)だ。出展者数は492社・団体、展示規模は2103小間と、過去最大となる。
出展者数、展示規模はともに前回の2021年よりも15%以上の増加。初出展も64社あり、工作機械は、大小含めて前回よりも88台多い285台が展示される見込みだ。
オークマやDMG森精機、ヤマザキマザック、ジェイテクトといった4大工作機械メーカーをはじめ、ブラザー工業やFUJI、豊和工業などものづくり王国・愛知に本社を置く工作機械メーカーが軒並み出展しブースを構える。人手不足の深刻化を背景に要望が強まる一方の「自動化・省人化」や、社会課題である「脱炭素化」などが、大きなテーマになる。メーカーの営業担当者は「受注増につなげられるよう、アピールしていきたい」と、力を込める。
主催者が企画する「コンセプトゾーン」では、「驚きのスゴ技 加工のヒントがここに」をテーマに、中小企業3社が参加。大型のセラミックス板を均一かつ平らに削ったり、アクリルから実物大の昆虫を削り出すなど、優れた加工技術を披露する。主催者のニュースダイジェスト社代表者は「業界の景況感はやや下向きだが、MECTが起爆剤となり、景気浮揚の一助になれば」と話し、活発な商談を促す。