自動車③/脱炭素社会への貢献/電動化対応製品を拡充/コア技術生かし時代の変化に対応
トヨタ自動車が掲げる、2030年の350万台の電気自動車(EV)販売目標に追随しようと、グループ各社が電動化対応製品の開発を進めている。豊田自動織機が電動コンプレッサーの生産体制を強化するほか、ジェイテクトはイーアクスル向けの小型部品の開発を進めている。各社が、自社で培ったコア技術を生かし、自動車の電動化、脱炭素社会への貢献を目指す。
■豊田自動織機
豊田自動織機は電動化対応製品をグローバルで生産できる態勢を整える。電動車は、電池などの電子機器を多く搭載するために、熱対策が必要となる。熱マネジメントの中核部品である電動コンプレッサーの需要拡大に向け、生産能力を増強している。
昨年7月には、電動コンプレッサーを生産する東浦工場(愛知県東浦町)を約80億円投じて拡張すると発表した。中国拠点や刈谷工場の組み立てラインでも能力増強を進めており、グローバルで1千万台の生産体制を構築する。
■ジェイテクト
ジェイテクトは、電動化対応製品のラインアップ拡充を進めている。特に、EVの駆動装置であるイーアクスル向けの部品では、小型、軽量、高効率化を進めたデファレンシャルギア(デフ)や軸受けなどの先行開発を進めている。
デフは、両輪と駆動源をつなぎトルク伝達を行う差動装置。自動車の旋回時に発生する左右の回転差を吸収する役割も持つ。現行のイーアクスルでは、一般的にガソリン車などにも使われているベベルギア式のデフを採用している。開発した「ジェイテクトウルトラコンパクトデフ(JUCD)」では、構造を大胆に見直すことで、強度を維持しながら容積を半分以下にまで小型化している。
今年5月には、「JUCD」に遊星減速ピニオンギアと遊星減速キャリアを一体化した、遊星減速キャリア一体型の超小型デフを開発した。効率的な配置などにより、遊星減速キャリア一体型JUCDでは、約50ミリメートルの短縮効果が生まれる。イーアクスルのさらなる小型化や軽量化に貢献する。
■豊田合成
豊田合成は、電動化や自動運転などの進展に合わせ、エアバッグ製品や内外装品を高機能化し、EV化が進む中国のほか、北米やインドを中心に現地企業への新規受注を拡大する。いなべ工場(いなべ市)で生産する水素タンクも自動車以外の分野も含め、拡販を進める。
■トヨタ紡織
トヨタ紡織は25年度に、ユニット部品事業の売上高に占める電動化関連製品の割合を10%にする目標を掲げている。中核となるのは、モーターの心臓部となるモーターコアと、燃料電池車(FCV)向けのFCスタック用セパレーター。
モーターコアは主にトヨタのハイブリッド車(HV)向けに供給しているが、他メーカーへの拡販も進める。またセパレーターについても、さらに競争力を磨いていく考えだ。
■愛知製鋼
愛知製鋼は、HVやEVのモーターの電力制御を行うパワーカード用の放熱部品、リードフレームの増産を進めている。22年には、電動車の需要急増を見据え、岐阜工場(各務原市)に約9億円投じて、第3ラインを竣工(しゅんこう)、10月に稼働した。第3ラインの稼働により、リードフレームの生産能力は従来比30%増の年間7200万個となった。