食品流通/コロナやサステナブル対応で変化する食生活 /在宅や脳疲労向け登場/環境配慮商品、植物性素材に注目も
コロナ禍や、サステナブル(持続可能性)への関心の高まりで変化していく食生活。食品メーカーや卸各社は、在宅勤務で脳疲労を感じる人向けに、記憶力に効果があるとされるナッツを提案したり、植物素材を使ったカレーを開発したりと、時流に合った商品をそろえる。
■在宅勤務のお供に
菓子・食品卸業の種清(本社名古屋市西区)は7月12、13の両日、名古屋市港区のポートメッセなごやで「秋季見本展示会」を開いた。開催は2020年の春季見本展示会以来、2年半ぶり。菓子メーカーなど約180社が出展し、取引先のスーパーなどに働き掛けた。
テーマは「未来Shift(シフト)」。コロナ禍で定着した新生活様式に対応したほか、環境に配慮した商品などをそろえた。在宅勤務で脳疲労を感じる人が増えたため、記憶力に効果を見込めるナッツを用意。紙パッケージや食べ切りサイズのエコ商品も並べた。フェアトレードや、土産需要が落ち込んで苦戦する全国名菓も提案した。
中野暁(さとる)会長は「種清単体で今期(23年3月期)は売り上げ720億円(前期は約665億円)を目指す」と話した。
スジャータめいらく(本社名古屋市天白区)はこのほど、「スジャータ 伊勢海老クリームポタージュ」(900グラム、標準価格398円)を発売した。本格的な味わいが特徴で、1人前(180グラム)に1食分のビタミンEを含む。外出自粛下でもホテルやレストランのような味を楽しめ、栄養価の高さで免疫力向上にもつながりそうだ。
■環境に配慮
食品卸のトーカン(本社名古屋市熱田区)も7月14、15の2日間、名古屋市港区のポートメッセなごやでスーパーなど向けに食品や包装資材などの展示会を行った。食品メーカーなど396社が出展し、コロナ前の2019年並みまで社数を戻した。初出展は43社。前年比では、市販要冷品や業務用を扱う企業を中心に58社増やした。
同社独自の提案コーナーは12カ所設けた。有機栽培や代替食など環境に優しい食品、非対面で購入できる食品自販機、資源使用量を抑えた包装材、簡便調理できる電子レンジ対応の本格スープを紹介した。
永津(ながつ)嘉人(よしひと)社長執行役員は「新規開拓に注力しており、今まで取り引きのなかった企業ともつながりたい」と意欲を見せた。
■植物性素材使用
食品メーカーのカゴメ(本社名古屋市)は、動物性原材料を配合せず、植物性素材を使用した「プラントベースフード(PBF)」を拡充している。9月13日、「野菜と豆のマッサマンカレー」(170グラム、店頭想定価格320円前後)を発売。21年秋から家庭向けに販売を始め、独自に11種類を開発した。
ほかに、PBFブランド「2foods(トゥーフーズ)」を展開するTWO(本社東京都)とオムライスを共同開発した。卵部分は、ニンジンと白いんげん豆を原料に作り上げ、「ふわとろ感」を実現。チキンライスには大豆肉を用いた。
食肉を生産する過程で、肥料の製造加工、飼育、食肉処理などによって二酸化炭素が多く排出されることから、植物由来のPBFに関心が集まっている。PBFの世界市場規模は30年には約20兆円に到達するといわれており、関連商品を生み出していくことは、食品メーカーの収益拡大につながりそうだ。